ハーレーエンジンの種類と歴史
● ハーレーエンジンの種類と歴史 簡単解説
進化年表
ハーレーダビッドソン進化年表について
ハーレーの古いエンジンから最新エンジンまで
順番に紹介しつつ簡単に解説しております。
◆ フラットヘッドとは?(サイドバルブ)
歴史で見れば、サイドバルブのフラットヘッドエンジン(1929年~1974年の45年間)がもっとも長く生産されました。
フラットヘッド(サイドバルブ)シリーズは、有名なWシリーズ(750cc/45cuin)があります。
サイドバルブと言えば、WシリーズズのWL/WLAが一番有名ですね。
WLシリーズは1937年~1952年の15年間生産されました。
1958年からはVLスプリンガーフォークからグライドフォークに変わりました。
Wの意味は、新しいオイル循環システムを採用したことにちなんで付けられた名前になります。
第二次世界大戦で各国へ輸出して使用されたWLA(迷彩のアーミーシリーズ)も有名ですね。
WLの市販車が第二次世界大戦でWLAとなって世界各国へ輸出されたカーキー色のアーミーモデル(ARMY)のAからWLAと名付けられています。
初代フラットヘットD系のDLなんてレアな車両もあります。
初代は1929年~1931年のDシリーズのD/DL/DLDが始まりでした。
サイドバルブの初代モデルは1929年に発表されたDシリーズのDLといったレア車両もあります。
ベージュのアーミーカラーになっています。
1928年8月にDが発表されましたが、深刻なトラブルが見つかり1929年の春に製造を中止。さらに翌年1930年~1931年に再びD/DLを発表して全てのトラブルが解決されて歴史的な名車となりました。
これらの排気量は750ccと小さいので「ベビーツイン」と言われています。
<サイドバルブの進化年表>
・1929年~1931年の3年間だけ生産されたDL = 750cc(45cuin) ・1932年~1952年の15年間だけ生産されたWL(市販車)・他にWLA(軍用車)・WLDR/WR(レース車両)は全て = 750cc(45cuin) ・1930年~1940年の10年間だけ生産されたV系のVL = 1200cc(74cuin) ・1936年~1945年の9年間だけ生産されたU系のUL = 1340cc(80cuin) ・1952年~1969年に生産されたK系のK/KH/KHK/KR(スポーツスター)= 744cc ・1932年~1974年の42年間も生産されたG系のG/GA/GD/GEのサービスカー = 750cc(45cuin)
◆ ナックルヘッドとは?
1936年に初誕生したOHVエンジンのナックルヘッドになります。
1936年~1947年までの11年間生産されました。
排気量は、
・E/ELシリーズの1,000cc(988cc) ・F/FLシリーズの1200cc
誕生から5年後の1941年に1200ccがデビューしました。
E/ELシリーズの前後のホイールは18インチとなります。
F/FLシリーズから前後のホイールは16インチとなっています。
ナックル時代よりFLシリーズにフロントホイールが図太い16インチが採用されて以来、現代に引き継がれています。
FLシリーズ = フロント16インチが定着していますね。
EとEL、FとFLの違いは圧縮比(エンジン内の空気圧みたいなもの)が異なっています。
Eが(6.5)ELが(7.0)
Fが(6.6)FLが(7.0)
ハンドシフトのシフトパターンも年式によって異なります。
1936年~1946年:上から「1・N・2・3・4」
→ 初代から最終1個前までは前が1速になっています。
1939年のみ:「1・2・N・3・4」
→ 1939年のみ2速と3速の間にN(ニュートラル)があります。
1947年~1964年:「4・3・2・N・1」
→ 最終ナックルヘッドからパンヘッド時代までは手前が1速になっています。
<ナックルヘッドの進化年表>
・1936年:ハーレー初のOHVエンジン(オーバーヘッドバルブエンジン)のナックルヘッドが誕生しました。初期ナックルのみロッカーアームのネジ部分が●になっています。 ・1938年:シリンダーヘッドを全て改良されました。シールドロッカーアーム方式に仕様変更してヘッドのオイルの流れがスムーズになりました。 ・1939年:この年にシフトパターンが変更されました。「1・N・2・3・4」→「1・2・N・3・4」 ・1941年:74スプリンガーの名前にも由来する74キュービックインチの1200ccへ排気量がアップされました。 ・1947年:最後の最終ナックルヘッドとなります。最高速度は160km/hオーバーとなっています。
◆ パンヘッドとは?
1948年に初誕生したパンヘッドは初代モデルのみナックルヘッドのスプリンガー引き継いだヨンパチモデルとなっています。
1948年~1965年の18年間生産されました。
1948年の48年から通称ヨンパチと呼ばれています。
排気量は、
・ELシリーズの1,000cc ・FLシリーズの1200cc
E/ELモデルは1952年を最後に以降はFLモデルのみとなりました。
パンヘッドは色々とモデルチェンジが行われて進化が多かった時代となりました。
<パンヘッドの進化年表>
・1949年にはフロントフォークがスプリンガーから油圧式のテレスコピック式フォーク(現在主流のフロントフォーク)を搭載したハイドラグライドフォーク(GLIDEFORK)が誕生しました。 ・1952年からハンドシフト(手で操作)からフットシフト(一般的なバイクと同じ仕組みの操作)に変更になりました。同時に1,000ccのELシリーズは生産中止になりました。 ・1958年からリジッドフレームからリアサスペンションを搭載したデュオグライド(DUO-GLIDE)が誕生しました。
これによりフロントとリアの前後サスペンション付きになりました。今で言う所の一般的なサス付きバイクになります。
さらにリアのドラムブレーキもハイドロリックドラム(油圧式)になりましたので、良く効くようになりました。
1965年の最終パンヘッドにはキック始動からセルモーターが搭載したエレクトラグライドの誕生となりました。
パンヘッドエンジンの最下部分(カムカバー)のフィンは年式によって変わっています。
1948年~1955年まではフィンが7本あります。 1956年~1964年までフィンが4本になっています。 1965年の最終パンヘッドはフィンがないタイプになっています。
このようにパンヘッドは、初代スプリンガーフォークモデルのヨンパチ、ハイドラグライド、デュオグライド、エレクトグライドが有名ですね。
◆ ショベルヘッドとは?(アーリーショベル/コーンショベル)
→ パンヘッドからの腰下を受け継いで1966年にアーリーショベルが誕生しました。
ショベルヘッドは1966年から1985年までの20年間に渡って生産されました。
20年の間も改良を重ねて生産されていますが、その中でも「1200cc」と「1340cc」といった2タイプのエンジンの種類と排気量があるのも、また魅力の1つですね。
FXスーパーグライドとFXSローライダーシリーズはショベルヘッドから生まれました。
この中でも初代FXシリーズとなる「FXスーパーグライド1200」は斬新なアイデアから生まれました。
ナックルヘッド~パンヘッド時代~アーリーショベル時代まで引き継がれているF/FL/FLHシリーズのフロント16インチ。
FLシリーズとしてフロントホイールが図太い16インチが採用されて以来、現代に引き継がれています。
FLシリーズ = フロント16インチが定着しています。
スポーツスターXLシリーズのフロントフォーク一式と軽快なフロントホイール19インチをFLフレームと組み合わせた物がFX1200スーパーグライドの誕生となりました(ウィリー・G考案になります)
FLのフレーム+スポーツスターXLのフロント一式 = FX1200スーパーグライドが生まれた年でした。
ビックツインのFLシリーズ + スポーツスターXLシリーズ = 組み合わせてFXの誕生!
まさに斬新なアイデアですね。
ショベルヘッド以降からはFX/FXSのローライダーシリーズとして、フロントホイールが19インチ/21インチと現代まで引き継がれています。
FXスーパーグライド/ローライダー/ワイドグライド/エレクトラグライド/スタージス/ワイドグライド(FLH/FXS/FX/FXR/FXB/FXWG/FLHS/FLHCFXEF/FLT)が有名となります。
ショベルヘッドについては別で解説しておりますので、ぜひご覧下さいませ。
◆ エボリューション(エボ)とは?
1984年にエボリューション(エボ)が誕生しました。
1984年~1999年の15年間生産されました。
全てアルミ製になった新エンジンの初誕生となりました。
エボの特徴はリジッドフレーム(サスペンションが外見から見えない)ように工夫したソフテイルモデルの誕生になります。
1988年にソフテイル・スプリンガー(FXSTS)誕生しました。
1992年にダイナシリーズが誕生しました。
有名な車種は「ダイナ/ソフテイル/ファットボーイ」ですね。
FXSTS/FLSTF/FXDLになります。
エボリューション時代までが古くからのOHVエンジンの伝統を受け継いだ仕組みになっています。
フライホイール(図太い円盤)と言われる所に4個あるおにぎりの形をしたカムと言われる1つの棒で動かしています。4個のおにぎりからエンジン上部まで縦長のプッシュロッド(4つの棒)でシーソーのように動いています。
簡単に言いますと上から下まで直接ダイレクトにエンジンを動く仕組みになっています。
これがナックルヘッド時代~エボリューション時代までとなります。
◆ ツインカム(TC88/TC96)とは?
1999年にツインカム88(TC88)が初誕生しました。
1999年~2016年の18年間生産されました。
1999年に誕生したツインカム(TC88)からは低回転型エンジンから高回転型エンジンになって振動が軽減されましたので、エボリューション(エボ)と区別される事が多いですね。
1936年に誕生した空冷・V型2気筒のOHV型エンジンは引き継がれている事は間違いないのですが、細かい内部の仕様と伝統部分を言いますとナックルヘッドからエボリューション(エボ)までで一旦、終結となりました。
ツインカムからは一気にエンジンを動かす仕組みが変更になりました。
先程解説した4個あるおにぎりの形をしたカムと言われる1つの棒が2つ変更になってしまいました。
ハーレーのエンジンはV型で前と後ろについていますが、前に対してカムの棒1本、後ろに対してカムの棒1がつくようになりました。
そして、2本あるカムの棒が自転車のチェーン(カムチェーン)で繋がって動く仕組みにとなっています。
さらに、ややこしい事に後ろエンジン側のみカムが伸びていて、そこからフライホイール(円盤)まで自転車のチェーン(カムチェーン)で繋がって動かしている仕組みになっています。
簡単に言いますと上から下まで直接ダイレクトにエンジンを動く仕組みではなくなって間に余計なクッションみたいな物が入ってしまいました。
このようにカムチェーンで結ばれる事によりチェーンの張り具合を調整するためにカムチェーンテンショナーという部品が必要になります。
カムチェーンテンショナーは絶対的な消耗部品で交換しないと破損してしまうリスクがあります。破損はエンジンに致命的なダメージを与えます。
TC88はスプリング式、TC96は油圧式になっています。スプリング式の部品代は1万前後で購入出来ます。工賃を含めて2~3万だと思います。
スプリング式から油圧式の変更は10万前後、カムギア化にしても20万前後の工賃が掛かってしまいます。
カムギアはエンジンテンショナーが不要になってパワーアップさせるための物になります。これにより耐久性と性能がアップします。
カムチェーンと言われる余計な部品が増えてしまった事でカムチェーンテンショナーと言われる部分が4万キロ~5万キロ前後で破損してしまうリスクがあるため、消耗部品として要交換となっておりツインカム最大の弱点となっています。
空冷・OHVのV型エンジンには変わりないのですが、これによりエボリューションまで引き継がれた昔ながらの伝統が時代と共に変わってしまいました。
ツインカムからは高回転型エンジンとなってしまい乗り心地が大幅に変わってしまいました。
1340ccから1450ccに排気量がアップされました。
ツーリングリングファミリ、ダイナファミリーがあります。
2000年には振動を軽減されるバランサーが搭載してツインカム88Bエンジンをとうしたソフテイルが誕生いたしました。
2007年にはヒューエルインジェクション化に伴いまして、ツインカム96(TC96)になりました。
1450cc(88cuin)から1584cc(96cuin)になりました。
1580cc(96cuin)は2007年~2016年まで生産されました。
さらに2011年にはツインカム103(1689cc)にツーリングファミリーが生まれました。
2014年にはツインカム103エンジンで冷却ラジエーターを装備していました。
その後、ツインカム110(1801cc)が生まれました。
2016年まで生産されました。
◆ ミルウォーキーエイト(M8)とは?
2017年モデルのツーリングファミリー、2018年モデルにはソフテイルファミリーに搭載されたハーレーの最新エンジンになります。
排気量は、
・1,745cc(107cuin) ・1,868cc(114cuin) ・1923cc(117cuin)
◆ ライブワイヤーとは?(LiveWire)
日本では2020年12月に予約を開始して2021年3月に発売されるハーレー初の電動バイクですね。
といったハーレーのエンジンには沢山の車種が存在します。
◆ ハーレーの魅力とは?
ハーレー 簡単解説(基礎知識/ビックツイン/スポーツスター)
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