ショベルヘッドの疑問を解決(ハーレー)

目次
● ショベルヘッドの疑問を解決(ハーレー)
基礎知識(名前の由来/排気量/生産年数)
ハーレーの大人気エンジンNo.1
ショベルヘッドの基本的な解説による
・基礎知識 ・名前の由来
・排気量の違い(1200cc/1340cc) ・生産年数 ・歴史
上記に関するショベルヘッドとは?の内容を簡単にまとめています。
誰でも理解できるように1つ1つ分かりやすく
簡単に解説しておりますので、ぜひご覧になって頂ければ幸いです。
ショベルヘッドは何年に生産されたの?
ハーレー社のショベルヘッドは
1966年から1985年までの20年間に渡って生産されました。
20年の間も改良を重ねて生産されていますが、その中でも「1200cc」と「1340cc」といった2タイプのエンジンの種類と排気量があるのも、また魅力の1つですね。
歴史で見れば、サイドバルブのフラットヘッドエンジン(1932年~1974年の42年間)がもっとも長く生産されました。
ナックルヘッドから誕生した初のOHVエンジン(シーソーのように最上部で動作するエンジンの仕組み)としては、ショベルヘッドエンジンが1番長い歴史のエンジンになると思います。
参考までにツインカムTC88/TC96(1999年~2017年の18年間)、エボリューション(1984年~1999年の16年間)、現在はミルウォーキーエイト(2018年~)となっています。
そして、同じショベルヘッドエンジンでも生産された年代によってアーリーショベルとコーンショベルといって見た目と名前が異なるバージョンが存在するのも面白さでもありますね。
エンジンの排気量って違うの?
排気量の違いについては
1966年~78年の前期までは「1200cc」になっています。
これをショベルヘッド前期と呼んでいます。
1978年~1985年までの後期を「1340cc」になっています。
これをショベルヘッド後期と呼んでいます。
なんでショベルヘッドって言われているの?(名前の由来)
まず車体の左側から見てプラグがある方のエンジンを見ます。

↑ オレンジ箇所全体を
「ロッカーアームカバー」と言います。
このロッカーアームカバーを真上から覗き込みますと分かりやすいのですが、逆U字の形をして凹み=へこんでいる箇所が分かりますね?(赤枠箇所)
この赤枠箇所については
雪かき・土掘り・子供の砂遊びに使われる
「スコップ(シャベル)= Uの形」をしています。
以上の事から
・シャベル = スコップの形 = ショベル ・ヘッド = エンジンの頭、上側、上部
として
ショベル(スコップの形) + ヘッド(エンジンの頭である上部の形)
を足すと…?
= ショベルヘッドと言われています。
※ 海外では発音の関係からシャベルヘッドと言われる事もあります。
エンジン素材は何で出来ているの?(鉄とアルミの違い)
ナックルヘッドからパンヘッド・ショベルヘッドの進化ではエンジン半分の所から上部にあるシリンダーヘッドと言われる部分が鉄からアルミに進化しています。
正確にはエンジン最下部 = 腰下のすぐ上にあるシリンダー部分が鉄で、その上のシリンダーヘッド部分がアルミになっています。
エボリューションになってからは全てがオールアルミになったりといった進化を遂げています。
シリンダーは鍵穴の受け側の事を言います。
シリンダーの中にはピストンと言われる背もたれがない椅子みたいな●物が上下で動いています。
ピストンを入れるためのケースとなりますので、シリンダーと言われています。シリンダーは下と上で真っ二つに分かれています。
この上部分がアルミという事になります。
・鉄は鋳鉄製(ちゅうてつ)で放熱性が非常に悪く重くて硬いです。 ・アルミは放熱性に優れて柔らかく軽いです。
鉄は鋳鉄製で放熱性が非常に悪く重くて硬いのでデメリットだらけです。
一方でアルミは放熱性に優れて柔らかく軽いです。
このような事情からバイクのエンジンは鉄からアルミに進化を遂げています。
高年式だと安心出来るの?(AMF時代と品質問題)
ハーレー社も過ぎ去った時間の年数分だけ試行錯誤を繰り返しています。
年数が経過した分だけ進化したエンジン仕様の設計と精度になっています。
これは当然であり絶対に間違いない事だと思っています。
ハーレー社が不況に立たされた1970時代のAMFショベルヘッド時代であってもです。
よく70年代~81年までのAMF時代であったショベルヘッドは酷い品質と言われていますね。
確かに1979年のオイルショックによる影響で排ガス規制により1200ccから1340ccの排気量アップには無理があったかもしれないのですが、ショベルヘッドのエンジン自体その物の問題と言うよりは輸入した際に日本で組み立てられた時の品質問題が大きく関係しております。
いつもながら話が脱線してしまい長くなってしまいそうですので、今回は割愛してしまいますが、その影響でショベルヘッド = 壊れやすいイメージが定着してしまったのだと思います。
どれだけ粗悪品と言われましても、それ以前のパンヘッド、ナックルヘッド、フラットヘッド(サイドバルブ)と比べると良く分かるのですが、元々のエンジン仕様が素材を含めて、しっかりと考えられた設計になっている事には違いありません。
年式が新しい分だけエンジンの設計が進化しているという意味になります。
例えば、この令和の時代においての最新技術で対策したショベルヘッドとナックルヘッドを真夏の炎天下に、まったく同じ環境で走らせたとします。
どちらが長く走らせる事ができるか一目瞭然だと思います。
圧倒的にショベルヘッドの方が長く走らせる事が可能となりましてオーバーヒートせずに走らせる事が出来ます。
さすがにナックルヘッドからパンヘッドへ変わり進化した分だけあって、ショベルヘッドの方が本来あるエンジンのポテンシャル(性能)が優れているという事なのです。
さらに鉄xアルミエンジンを組み合わせたショベルヘッドとオールアルミエンジンのエボリューション(エボ)では素材以外にも、さらなる進化を遂げておりますので一目瞭然だと思います。
1984年に誕生したエボリューション(エボ)から
ようやく安心して乗れるエンジンになりました。
ショベルヘッドから新しく生まれたモデルはあるの?
FXスーパーグライドとFXSローライダーシリーズはショベルヘッドの時代に生まれました。
この中でも初代FXシリーズとなる「FXスーパーグライド1200」は斬新なアイデアから生まれました。
ナックルヘッド~パンヘッド時代~アーリーショベル時代まで引き継がれているF/FL/FLHシリーズのフロント16インチ。
テレスコピックフォークはパンヘッド時代~アーリーショベルのFL/FLHシリーズとしてフロントホイールが図太い16インチが採用されて以来、現代に引き継がれています。
FLシリーズ = フロント16インチが定着しています。
簡単にまとめますと
◆ XLとは?
→ スポーツスターの軽快モデルの車種名になります。
フロントフォークの横幅が一番狭く19インチとなっています。
スポーツスター(XLH)には横幅がナローで
細い35パイ(35mm)のフロントフォークが付いています。
◆ FL
→ フロントフォークの横幅が広く
どっしりした太いファットタイヤの車種名(16インチ)
パンヘッド~ショベルヘッドに続くFL(FLH)には
横幅が広い41パイ(41mm)のフロントフォークが付いています。
2本の棒も上側全体がカバーで覆われているため
筋肉足のように太く、どっしりした作りになっています。
FX
→ フロントフォークの横幅が狭く
軽快で細いタイヤの車種名(19インチ/21インチ)
FX1200スーパーグライドから引き継いだフロントの横幅が細いフロントフォークが付いています。
ちなみに倒立フォークと言われる物は一般的なテレスコピックフォークの上下を逆にしたVerと覚えておけばOKです。上下のサスペンションの動きと強度を増していった事がきっかけで誕生しました。上側が太く下側が細くなっています。
スポーツスターXLシリーズのフロントフォーク一式と軽快なFホイール19インチをFLフレームと組み合わせた物がFX1200スーパーグライドの誕生となりました(ウィリー・G考案になります)
FLのフレーム+スポーツスターXLのフロント一式 = FX1200スーパーグライドが生まれた年でした。
ビックツインのFLシリーズ + スポーツスターXLシリーズ = 組み合わせてFXの誕生!
まさに斬新なアイデアですね。
ショベルヘッド以降からはFX/FXSのローライダーシリーズとして、フロントホイールが19インチ/21インチと現代まで引き継がれています。
簡単進化年表
・1966年:腰下がパンヘッド時代を引き続いた形でアーリーショベルが誕生しました。DCキャブレターが採用されました。 ・1966年~1969年:アーリーショベル時代は発電機がジェネレーターの直流発電/DCになっています。点火時期を手動で動かく仕組みのディストリビューター(デスビ)による手動進角になっています。 ・1969年:AMFの傘下入りになりました。
・1970年:腰下がエボリューションまで引き継がれる事になったコーンショベルが誕生しました。 発電方式がオルタネーター(ステーターコイル)の交流発電/ACに進化しました。点火時期が自動で動くガバナー(アドバンスユニット)が正式に採用されて自動進角になりました。 ・1971年:FL+XL = FX1200スーパーグライドが誕生しました。テール周りは有名なポートテールになっており、今で言う所のFXシリーズの始まりとなりました。 ・1973年:前後ディスクブレーキが採用されました。
・1971年~1975年はペンディスックス・ゼニスキャブレターになりました。 ・1976年~:ケイヒンバタフライキャブレターが採用されました。 ・1977年:ガンメタのFXSローライダーが生まれました。7本のキャストホイールは初代のみです!
・1978年:排気量が1200ccから1340ccに進化しました。この年までポイント点火方式でした。 ・1978年~1979年:セミトラ点火方式(セミトランジスタ点火システム)になりました。たった1年半で幕を閉じました。
・1980年:フルトラ点火方式(フルトランジスタ点火装置システム)になりました。これによりガバナー(アドバンスユニット)がなくなりました。 ・1981年:ハーレーダビッドソン社は再びAMFから株式を買い戻して暗黒のAMF時代から抜け出して見事に復活しました。
オイルポンプがようやく正式に1340ccに対応しました。
それまでは1973年~1980年まで同じオイルポンプが使われておりました。
1968年~1972年・1973年の合計4回、オイルポンプが変わっています。
詳しい内容につきましては、ぜひ下記のハーレー内容をまとめたメモ帳をご覧下さいませ。
【ハーレー全般で使える!】ショベルヘッドまとめメモ帳(困った時の故障&トラブルノウハウ集
誰が見ても理解出来るように1つ1つ項目別に丁寧に分かりやすく解説した初心者向けの詳しい内容となっておりますので、他の解説や整備本で分からなかった方でも絶対に理解出来ると思います!
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当方の説明が少しでも分かりやすいと感じられましたら、ぜひショベルヘッドまとめメモ帳に目を通してご検討頂けますと本当に嬉しく思います(^-^)/
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