和歌山カレー事件の時系列
● 和歌山毒物カレーの時系列 簡単まとめ
1998年7月25日(土)当日の状況
1998年7月25日 土曜日
夏祭りに起きた和歌山カレー事件について
当日の状況~事件発生~裁判~現在までの時系列の簡単解説になります。
↑ 当時の報道では
夕方5時~6時の夏祭り開始直前に
”ヒ素ではなく”「青酸カリ(青酸化合物)」を入れた事になっています。
ヒ素を入れたとされる時間帯もお昼0時20分~1時の間ではなく、夕方6時から始まるお祭り直前となっていました。
後に長年に渡り、白アリ駆除でヒ素を取り扱っていた林健治さんが語っておりますが
135gのヒ素は夏祭り開始直前に入れないと接着剤のようなゴム状みたいな塊になるので、林真須美さんが午後0時20分~1時の間に入れるのは違和感があり、おかしいという指摘があります。
ヒ素をカレーに入れるにしても団子のような固まりになるので、入れた瞬間によくかき混ぜて食べる直前でなければ違和感が残るという事でした。
ましてや、お昼から夕方6時までの5時間もの間にカレーの見た目に違和感がないこと事態がおかしいとも指摘があります。
さらに午後2時には林真須美さんの次女もカレーを味見をしているようでした。
・朝8時30分: 民家の駐車場ガレージにて近所の人たちとカレー作りを開始(参加した主婦は20人で、林真須美さんは午前中は病院の検査があったため、カレー作りには不参加)
・午前10時: カレーの煮込みを開始(2つの大きな鍋)
・午前11時30分: 6人が味見をするが異常なし
・昼0時: カレーが完成(アルミホイルをしてからダンボールでフタをします)
・昼0時5分: カレーが完成した頃に林真須美さんがやってきます。
・昼0時10分: 氷の状況を確認するため、林真須美さんは一旦、席を外しています。
・昼0時15分: Sさんこと酒井さん(仮名)が一人で見張り番をしていました。
・昼0時20分: 林真須美さんがガレージに戻ってきます(この時は二人だけの見張り番)
犯行時間と疑われる状況
昼0時20分~1時の間: 林真須美さんが一人で見張り番。
この時に林真須美さんが”ヒ素を入れた”と直接証拠ではなく状況証拠で「死刑」になりました。
林真須美さんが一旦ガレージを離れて、自宅から首に掛けていたタオル&紙コップに入ったヒ素を一緒に持ってきたと言われています。
ガレージ向かいに住む女子高生よりが林真須美さんが一人でいる状況を証言しました。
「カレー鍋の中身を見たり、何度も道路の方を見ていた」
「しょっちゅうクマみたいに行ったり来たりしていた」
「何回も道路の方を見ていた」「それからカレー鍋に被せてあったダンボールを外して、しばらくすると鍋から白い湯気があがり、林真須美はその湯気を被ってのけぞった」
服装は「黒いズボンに白のTシャツ。タオルを首にかけていた。タオルで顔を拭いたり汗を拭いたりしているみたいだった」と証言。
裁判では、この女子高生の目撃証言がもっと重要視されまして、林真須美さんがヒ素を入れたと推測されています。
近所のお好み焼きアルバイト元少年(16歳)「林真須美さんを見た(右手に紙コップを鷲掴みで持っていたと証言)」と証言。
林健治さんは「真須美が見張り番へ行ったのは吉本新喜劇が始まった午後1時」と語っています。
午後0時20分~1時の間に、少なくとも一度ガレージを離れてからタオルを持ってきた時にヒ素も一緒に持ってきたとされています。
主婦の記憶では林真須美さんがガレージに1回目~2回目に訪れた時はTシャツで汗を拭いていたという事から、タオルはなかったと結論付けられています。
しかし、その後に一人で見張りをし始めた時から向かいの女子高生の目撃証言により「林真須美は首にタオルをかけていた = タオルの存在こそが林真須美さんがヒ素を持ってくるために一度離れた事の”状況証拠”とされています」
しかし、この判決は少年の目撃証言と大きく矛盾しているようです。
目撃した少年より「最初に林真須美さんがガレージにやってきた時から首にタオルを巻いていた」と証言しています。
しかし、目撃した少年は裁判の証言台に立つことはありませんでした。
裁判の証言台に立たなかった理由として
少年が何回か捕まった内の何回目くらいに「捕まっている以上、裁判で証言をしてもらったら向こうの弁護団に突っ込まれるから」と言われて裁判で証言してもらう話はなかった事になったようです。
タオルの件については、林真須美さんの次女も少年と同じ事を証言しています。
「女子高生の証言」と「林真須美さんの次女&少年の証言」が異なっています。
もし、林真須美さんが最初からタオルを首に巻いていたとしたら、一人で見張りをしてから一度、ガレージを離れたという「状況証拠」すらも成り立たない事になります。
カレー毒物事件を追い求めているノンフィクション作家(事実に基づいて、もっとも深く取材をしているライター)片岡健さんはdigTVで以下の内容を語っております。
「ヒ素が入っていた鍋というのは目撃証言をした人(女子高生)がいる所からは見えなくて死角になっていた」
「林真須美さんたちの主張を言えば、それは次女が開けたという事になってるんですけど、仮に林真須美さんが鍋を開けたとしても、それはヒ素が入ってない鍋に過ぎないのに、それが裁判で有罪の証拠にされているんですね」
「ヒ素が入っていない鍋とは言え、フタを開けて中の様子を伺ったのは不自然だと」
時系列に戻りまして
・午後1時: 次の見張り当番の主婦がきます(林真須美さんのグループは12時~13時までが見張り番となりますので、別の班グループの方になります)
・午後1時~2時30分: 民家ガレージで合計3人がカレーを試食の味見をしています(林真須美さんの次女と少女)
・午後3時(4時): 祭り会場にカレー鍋が持ち込まれます。
・午後4時30分: 林真須美さんは近所の家からカレー用のご飯を集めて会場に現れます。「友達と出かけるので、今夜は手伝えない」と言い残します。
・午後5時過ぎ: 主婦らが全てのカレー鍋を味見(試食)したが吐き気など異常は一切みられなかった事が分かっています(新聞報道あり/別で解説)
・午後5時45分: 祭りの準備で一足先にカレーを食べた男性2人が嘔吐しています(恐らく、亡くなられた自治会長と副会長だと思います)
・夕方6時: お祭りでカレーが提供される(67人が急性ヒ素中毒になり、4人が死亡)
※ 自治会長と副会長が食べている最中 or 同時刻に配られたのかもしれません。
・夕方6時~6時30分: 家族でカラオケへ出掛けます。真須美さん・健治さん・次女・長男の合計4人で夏祭りには参加せずにカラオケに行きます(この時、長女と三女は自宅で留守番をしています)
・午後7時: カラオケスナックで、主人に3回か4回言われて嫌々デュエットしようと言われていたが、1回だけ唄っていた。石原裕次郎のデュエット曲だった。
・夜11時: 林夫婦は次のスナックへハシゴ
・翌日の午前1時30分:「救急車も何もなかった。自治会の人はおられた」と当時の報道で語ってました。
事件発生~裁判~現在まで
・1998年7月25日: 和歌山カレー事件が発生(67人中毒症状で4人死亡)
・1998年10月4日: 知人男性に対する殺人未遂と保険金詐欺の容疑で、林真須美と夫の林検事を逮捕(最初は保険金詐欺容疑で、カレー事件による逮捕ではありませんでした)
・1998年12月9日: カレーの亜ヒ酸 = ヒ素の混入による殺人と殺人未遂の容疑で再逮捕
・1998年12月29日: カレー毒物事件の殺人と殺人未遂の罪で起訴
・1999年5月13日: 林夫婦はヒ素の絡まない3件の保険金詐欺を認める
・2000年2月16日: 家を放火されて全焼
・2000年10月20日: 林健治に懲役6年の実刑判決
・2002年12月11日: 和歌山地裁は林真須美被告に死刑判決を言い渡します。
・2005年6月28日: 大阪高裁は控訴を棄却(林真須美は最高裁判所に上告)
・2009年4月21日: 最高裁は「鑑定結果や状況証拠から被告が犯人であることは証明された」と林真須美側の上告を棄却
・2009年5月18日: 最高裁で「死刑確定」
・2009年7月22日: 林真須美さんは和歌山地裁に再審請求
・2017年3月29日: 和歌山地裁が棄却
・2017年4月3日: 林真須美は大阪高裁に即時抗告
・2021年6月9日: 二度目の再審請求が受理される
・2023年1月31日: 再審請求が棄却されていた事が判明します(二度目の棄却となりました)
・2023年2月上旬: 林真須美さん側は再審請求の棄却を不服として、大阪高裁裁判所に即時抗告(不服の申し立て)をしています。
※ 再審 = 裁判で確定した死刑判決の取り消しを求めて、最初から裁判をやり直しの要求する事を言います。
※ 即時抗告(そくじこうこく)= 2週間以内に不服の申立を最高裁判所に審理してもらう事が出来ます。
現在も大阪高裁で審理が続いておりまして
今後、裁判のやり直しになるかどうかが注目されています。
ぜひ1つの参考にして頂ければ幸いです。
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