紀州のドンファン殺人事件(状況証拠の問題)
● 紀州のドンファン殺人事件(状況証拠の問題)
状況証拠の事件
2018年5月に急性の覚醒剤中毒で死亡した
和歌山県田辺市の資産家である
野崎幸助さん(当時77歳)こと
「紀州のドンファン」になります。
◆ ドン・ファンとは?
17世紀スペインの伝説上の人物で
女たらしのプレイボーイが代名詞となっています。
他にモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」に
各国2,000人の女性と関係を持った色男として有名になりました。
野崎さんは金融業から事業を始めて酒の卸売業など幅広く事業を展開した事により資産は「数十億円」とも言われていました。
生前の野崎さんより
私にとっては
1億円くらいはね。
紙切れみたいなもんだよ
という発言を残しております。
4,000人の女性と交際して、30億円を貢いだとしてメディアで一躍有名になりました。
結婚は人生で3回しておりまして、今回が3回目となりました。
2018年2月に55歳年下の女性と結婚(当時22歳)
その3ヶ月後の5月24日 午後9時頃
野崎さんが自宅 2階の寝室で死亡している事が確認されました。
死亡する3時間前の午後6時頃に1階のリビングで食事をしていました。
「食欲がない」と言い残して、1人で2階の寝室へ移動しています。
その3時間後の午後9時~10時に寝室のソファで、あおむけになって倒れている所を元妻の須藤被告とお手伝いさんの女性が発見しています。
ちなみに愛犬のイブちゃんは3週間前の5月6日に急死しています。
死因は「急性覚醒剤中毒」
死亡解剖では血液・胃・肝臓などから
”覚醒剤成分が検出”されましたが…?
覚醒剤を打った後の注射痕は一切なし
これにより食べ物や飲み物に混ぜられてのではないか?と事件に発展しました。
その後の知人のインタビューでも「(野崎さんは)覚せい剤をやる人ではない」と語っています。
この事から何者かに覚醒剤を飲まれたとして捜査が続けられていました。
事件発生から3年の月日が流れた
2021年4月
突如、元妻の須藤早貴容疑者を逮捕しました。
須藤被告が事件前に
・殺害方法をスマホで検索していた。
・覚醒剤の密売人と接触していた
として
和歌山県警より
元妻の須藤被告が密売人から覚醒剤を入手して
野崎さんと2人になる機会を狙って
覚醒剤を飲ませて殺害した疑いがあるとしています。
逮捕から1ヶ月後の5月19日
和歌山地裁より
元妻の須藤被告を
1.殺人(殺人罪)
2.覚せい剤取締法違反罪(使用)
の疑いで起訴しました。
元妻が何らかの方法で、野崎さんに覚醒剤を飲ませて殺人したとされています。
須藤被告は事件について
・黙秘(何も語らず)
・詳しい殺害方法 & 動機は「不明」となっています。
本事件において
直接、犯行に結びつくような
・目撃証言
・直接証拠
がないとされており
状況証拠のみ
を積み重ねて立証する事になっているために
検察側は、どのようにして殺害を立証するのか?
非常に難しい裁判になると注目が集まっています。
状況証拠としまして
事件当日は須藤被告と野崎さんは
「2人だけの時間があった」とされています。
さらに元妻が使用していた
スマートフォンを解析した結果…?
1.覚せい剤を入手方法 & 殺害方法の検索履歴が見つかる。
2.覚醒剤の密売人と「同じ時間」「同じ場所」にいた事を示す位置情報が見つかる。
3.野崎さんが覚せい剤を飲まされた時間帯は、お手伝いさんが外出していたために外部から第三者が侵入した形跡が見つからなかったとしています。
但し、状況証拠のみでは
・覚醒剤を口から摂取させた証拠が乏しい場合、難しい事件になる可能性が高い。
・元妻が密売人から覚せい剤を入手したことを立証(証明)できたとしても、それを飲ませた事にならないとされています。
覚醒剤を飲ませて死亡させた所を
・誰も見た人はいない
・監視カメラの映像もなし
最後に接点があった人が須藤被告のみで、
須藤被告しか殺害のチャンスがないといった消極的な考え方で、
有罪になって認定されているケースがあるといいます。
過去には、それで「死刑判決」が出ている事件もあります。
それが有名な和歌山カレー事件の真相(冤罪疑惑の死刑囚)になっています。
さらに本事件においては
野崎さんの財産が残されております。
この残された全財産13億2,000万円の「遺言書」を巡っても
・本人が書いたものなのか?
・第三者が書いた偽造(偽物)なのか?
と裁判で争われる程までに発展してしまっています。
遺言書の遺産問題については
2024年6月に裁判で判決が出ております。
<2024年7月16日追記>
ようやく元妻の逮捕から3年の時が過ぎまして
ぜひ1つの参考にして頂ければ幸いです。