紀州のドンファンが書いた遺言書が別人鑑定
● 紀州のドンファンが書いた遺言書が別人鑑定 簡単解説
遺言書は本物?偽物?(3つの筆跡鑑定会社は別人判定)
2018年5月に急性の覚醒剤中毒で死亡した
和歌山県田辺市の資産家 野崎幸助さん(当時77歳)こと
通称「紀州のドンファン」になります。
※ ドン・ファン = 17世紀スペインの伝説上の人物で女たらしのプレイボーイが代名詞となっています。他にモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」に各国2000人の女性と関係を持った色男として有名になりました。
金融業から始めて酒の卸売業など幅広く事業を展開して
試算は数十億円とも言われていました。
4,000人の女性と交際して30億円を貢いだとしてメディアで一躍有名になりました。
野崎さんが亡くなられた3ヶ月後の2018年8月に「遺言書」が見つかります。
今回の騒動については
野崎さんが残した
全財産13億2,000万円を
田辺市に寄付をすると書かれた「遺言書」
を巡って問題になっています。
野崎さんが書いたとされる
遺言書には
いごん
個人の全財産を田辺市に寄付する
「野崎さんの会社名」の精算をたのむ
平成25年2月8日
野崎 幸助 押印
○○○殿
となっています。
推測に過ぎませんが、
弁護士の菊池幸夫さんより
2点だけ少し違和感が感じられる箇所があると言われています。
1.「いごん」と書かれている点
→ 一般的には遺言(ゆいごん)という言葉が主流になっており
”いごん”という言葉は法律の専門家しか分からない用語だと言われています。
もしかしたら野崎さんは知っていた可能性もありえます。
2.2行目の文章の始まりが ”私の遺産は”といった
→ 主語が「わたし」から始まらない。
多くの方が遺言書を書く時は
「私の財産、自分の財産」で書き出す事が多いとされています。
”個人の全財産”で始まるのは少し違和感があると言われておりました。
和歌山県田辺市の言い分としましては
・遺言書は野崎さん本人の筆跡で有効だ!
・全財産13億円を受け取り田辺市で有効活用させてもらう!
と争う姿勢を見せています。
重要な事なので再び繰り返しますが、
自治体の市役所は争う姿勢を見せています。
これに対して野崎さんの兄を含めた遺族4人は
2020年4月に遺言書について「無効」を求めて提訴していました。
さらに2021年12月6日(月)より
・本人の遺言書ではない無効だ
・明らかに本人の字ではない別人が書いた物。
・筆跡鑑定を行った結果、3件ともに別人と判定された。
・全財産13億円は我々遺族の物だから絶対に田辺市になんか渡さない!
として本人直筆の手紙&公正証書の資料と合わせて
和歌地裁へ提出しました。
野崎さんの兄を含めた
親族4人が無効&不自然とする理由については
1.コピー用紙1枚に赤ペンで手書きされており、熟慮の末に作成したとは考えにくい(適当に思いついて書いた説)
2.和歌山県田辺市に寄付する合理的な動機が見当たらない。
3.遺言書が保管&発見されたとされる状況が不自然だった(遺言書が書かれた日付が5年前&事件発覚から3ヶ月後に見つかる)
と語っています。
4.遺言書が入っていた封筒と遺言書が書かれていた日付が異なる点。
遺言書が入っていた封筒は印刷会社に特注して作らせた「金の封筒」だった。
遺言書の日付時点では存在していなかった
・遺言書に書かれた日付: 2013年2月8日
・金の封筒の発注日: 2013年12月2日
となっています。
5.野崎さんは役人が好きではなかった
(上路雪江ジャーナリストより)
和歌山県田辺市に全額寄付するなんてするわけがない。
と言われています。
さらに親族側の弁護士
(和美陽子弁護士より)
・遺言書の名前の「書き順」が違っていた。
・自分の名前は何十年も書いているのもので書き順が変わる事は考えられない。
・素人目からしても違和感はあった。
・遺言書を保管していたとされるM氏。
・野崎さんの通夜の時にM氏が周りの人に遺言は存在していないと言っていたというのを聞いた人がいる。
・その後にM氏が「俺がなんとかしてやる」と言い、その後、保管している事を思い出している。
・遺言書が入っていた封筒も作成年月日などに関しても違和感があった。
・野崎さんが一番大事にしていた愛犬イブちゃんのについて
・遺言書の中で、まったく触れられていないのに遺産を全額田辺市に寄付するというのは考えられない
と述べています。
今後、野崎さんの遺言書が本人の書いた物なのかどうかを裁判で争われます。
3件の筆跡鑑定の結果について
1.横浜の鑑定会社
野崎さんが書いたとされる資料と比較した結果、
多くの字で形状が異なり「別人の筆跡」と判定
2.プロの筆跡鑑定の「第一人者」
字の線の質などから横浜の会社が鑑定した結果を正確と評価。
→ 筆跡鑑定の”第一人者に鑑定した所”が最大のポイントであります。
3.東京の鑑定会社
書き方の順番(書き順)やクセが野崎さんと異なる。
高齢者特有の歪み(ゆがみ)がない
筆跡鑑定会社 3社共に
遺言書は野崎さんの物ではない(完全に別人)
と判断しました。
気になる13億円の行方についてなのですが、
和歌山県田辺市の意向通りに
もし遺言書が「有効 = 本物」と認められた場合
・野崎さんの兄弟: なし(0円)
・元妻の須藤被告: 遺産の半分 = 6.5億円
・田辺市: 遺産の半分 = 6.5億円
となります。
但し、元妻の須藤被告の裁判も開始されておらず、判決は確定してしません。
もしも元妻が「有罪判決」になった場合、相続人リストから外されます。
これを相続欠格者となります。
となりますと…?
・野崎さんの兄弟: なし(0円)
・元妻の須藤被告: なし(0円)
・田辺市: 遺産の半分 = 13億円(全財産)
となります。
野崎さん兄を含めた遺族4人の意向通りに
遺言書が「無効 = 偽物」と認められた場合
・野崎さんの兄弟: 遺産の1/4(25%)= 3億円
・元妻の須藤被告: 遺産の3/4(75%)= 9億円
・田辺市: なし(0円)
となります。
和歌山県田辺市が争う姿勢を見せている理由としましては
一応、遺言書には遺産をもらう権利があるというのであります。
権利がありながらトラブルになりかねないのでと
仮に断ってしまった場合
田辺市民より
・なぜ市の財政がプラスになるのにもらわないんだ!
・もらわないのは市に損害を与えている
と言われかねないからという事でありました。
しかしながら、3件も遺言の筆跡が違うと意見が出てしまうと
これに対して反論できなければ、
田辺市川が不利になってしまう可能性が高い
という事でもあります。
さらに田辺市の筆跡鑑定について
もともと裁判の時に筆跡鑑定を資料として提出すると思っていた。
田辺市に対しては遺産を受け取るために鑑定をしていないのは疑問
手順としては、おかしいと思う
最初から鑑定を含めて田辺市がやるべき
と指摘されています。
田辺市としては裁判をするにしても裁判費用は税金として出さなければならず
今回争われる合計金額が13億円となるため、
5%を着手金とした場合「6,500万円」もの費用 = 税金が掛かってしまい
鑑定を行うにも鑑定料が掛かってしまい、結果的に裁判に負けてしまったら
それこそ田辺市民より「税金の無駄使い」と言われかねないという事でありました。
筆跡鑑定の正確性については
・科学的に100%正しいという訳ではないケースが多い
・人の字なので癖はありますが、完璧っていうのは難しい
・但し、今回は3件も本物の鑑定が出てくるという事から何らかの理由がある
という事であります。
ちなみにドンファンさんが残した
遺言書としての有効性(有効度)としましては
1.自分で書いたとされる「自筆証書」
2.書いた日の「日付」
3.本人の「サイン(署名)」
4.印鑑による「ハンコ」
全て揃っているという事から有効であるとされています。
但し、本人が書いたかどうかが?今回の裁判で争われています。
残りは、今後の裁判が決める事になります。
野崎さんの親族から3件の筆跡鑑定が提出されましたが、もしも田辺市側からも3件の筆跡鑑定が提出されたとしたら
それを元に争われる事も十分ありえるようです。
過去の裁判では筆跡鑑定同士で争われる事もあるとされています。
2022年3月までに田辺市が筆跡鑑定をやるかどうかを検討しています。
そこから鑑定となりますと…?
2022年6月頃に鑑定書が提出される予定となります。
その後、証拠を調べるという流れになっています。
親族の目的について
親族の方はお金については「別にいい」という立場
しかし、遺言書の内容が明らかに別人
これが野崎さんの意思だということで田辺市が遺産を全部持っていくことはおかしいと思っている。
偽造されたものでなければ遺族が何か言うことはなかった。
遺産争いについては
ドンファン事件を追い続けている
ジャーナリストの吉田さんより
一部報道で野崎社長と親族は不仲説が囁かれているが、それは間違い。
決して仲は悪くない
訴訟したのも「遺産が欲しい」からではなく
野崎社長の名誉が傷つけられたり、失われることを親族は防ぎたいと思っているから
と語っておられます。
さらに紀州のドンファンが書いたとされる遺言書が元社員の筆跡と似過ぎと話題になっています。
野崎さんの遺族側の弁護士より
・遺言書と同じ字の書き方をしている人が元従業員の中にいた
・書き順も酷似(こくじ)していることが分かった
・野崎の「野」の字の左側にある「里」を「田」と「土」に分けて書いている
という事が分かりました。
別の元従業員より
綺麗すぎる書き方
普段の字はだんだん左に酔ってくるけど
遺言書の字は、真っ直ぐ書いてある
その一方で…
野崎さん(ドンファン)40年来の知人より
何の疑いもなく
これは社長の字だと思います。
前の嫁さんと分かれた後の社長も精神的にバランスが取れていない時期だったと思う。
あの書いた時期から見ると遺言書っていったら
きちんと、ひざまずくなり机に座って
キチっと書くでしょう。
そういうことはあまりしない人だった
あの社長は、あの世、天国で、まぁ大笑いで笑っているよ
また俺のことで騒いでいるっていうのがね
という事でありました。
今後の動向に注目であります。
その後、判決が出まして
2024年6月21日(金)
和歌山地裁より
ドンファンの遺言書は「有効(本物)」
と判断されました。
これにより親族らの訴えを退けられまして
個人の全財産を田辺市に寄付するといった内容が認められた事になります。
ぜひ1つの参考にして頂ければ幸いです。