誹謗中傷のいいね!で55万円の損害賠償(最高裁判決)

誹謗中傷のいいね!で55万円の損害賠償
最高裁判決
SNSのツイッター(X)上で
誹謗中傷された投稿内容に対して
いいね!ボタンを押した場合でも
不法行為と認められず「損害賠償が認められない」
といった判決が東京地裁(一審)で出ておりました。
詳しい内容については
ジャーナリストの伊藤詩織さんが
誹謗中傷を受けて名誉を傷つけられたとして
「いいね!」を押した自民党の杉田議員に対して
220万円の損害賠償を求めた内容で請求を棄却(ききゃく)された内容になっています。
※ 請求を棄却 = 請求を捨てて無効と判断される事を言います。
◆ 裁判までの経緯について
2015年4月 伊藤詩織さんが
元TBS記者の男性から性暴力を受けたと訴える。
2018年 SNSのツイッター上(X)で
性被害を告発した伊藤詩織さんに対して「枕営業の失敗」「売名行為」といった誹謗中傷を繰り返した第三者の投稿内容(ツイート内容)に
杉田議員が合計25件「いいね!」を押した行為の損害賠償請求となります。
いいね!を押した行為が”誹謗中傷行為にあたるかどうかの争い”になります。
◆ 2022年10月 東京地裁(一審)の判決では
誹謗中傷に対する「いいね!」については
違法行為の名誉毀損(侮辱行為)として
「認めらない判決」となっています。
東京地裁の裁判長より
(杉田議員の25件いいねに対して)
「しつように繰り返されたとまでは言えない」
「加害の意図をもって行われたと認めるべき事情も見当たらない」
とした上で
※ 25回もいいね!を繰り返しているのに何とも不可解な判決とも言われています。
・いいね!だけでは拡散力が弱い。
・いいね!には幅広い感情表現が含まれる。
・お気に入りのブックマークや忘れ防止目的でも使われる事がある。
いいね!は好意的な感情を示す場合が多いが
非常に抽象的で、多義的な表現行為にとどまる。
「いいね!」を押すこと自体の行為を”違法行為(侮辱行為)と評価することは原則できない”
◆ 2022年10月20日
東京高裁(二審)より
杉田議員が過去に伊藤さんに対して
揶揄(やゆ)する発言や避難を繰り返していた事を踏まえて
控訴審判決より
「55万円の損賠賠償」を命じた判決を言い渡しました。
その後、約2年の時が過ぎまして
◆ 2024年2月8日
最高裁では侮辱の意味の意図をもって
「いいね!」を押した事が認められました。
「社会通念上、許される限度を超える侮辱行為」と結論づけられまして、杉田議員の上告を退ける決定をして敗訴が確定しました。
これにより杉田議員に対しまして
「55万円の損賠賠償」が確定となりました。
今回の判決については
「いいね」ボタンを押しただけの問題ではなく
1.国会議員(どんな立場を持った人物なのか?)
2.いいね以外にも”過去に差別発言を繰り返していた”
3.ツイッター(X)のフォロワー数が11万人と多く存在している(数に影響力がある)
今回の裁判では
上記3点の要素に加えまして
過去の言動集による誹謗中傷に関する内容が総合的に判断されまして
「いいね!行為」は
立派な”違法な侮辱行為”である
と認められました。
そのため、
一般の方がいいね!を押しただけでは
侮辱行為が100%認められる
という結論には至っていない事を意味しています。
単純に「いいね!」ボタンを押しただけでは
”侮辱行為は認められにくい”という事を意味しているとも言えます。
今後、誹謗中傷に対して「いいね!」が争われる事があるとすれば…?
一審の判例が適用される可能性が高そうな気がします。
そして、今回と同じく「いいね!」の他に
1~3いずれかの要素が加わりまして
(社会的立場+過去の言動集+数の影響力)
ようやく損害賠償が認められるケースとなりそうです。
なぜなら、過去の判例でも
東京地裁より「いいね!行為の損害賠償が認められなかった判例」があります(2014年3月20日付)
SNS上のいいね!機能は、つぶやき等の発言(投稿内容)に対して賛同の意味を示すだけにとどまり、名誉毀損発言と同じ扱いにする事は出来ず
不法行為責任(違法行為)を負うものではないとして
損害賠償&削除の法的義務は認められない判決となっています。

