東名あおり運転死亡事故 裁判の判決(やり直し裁判含む解説)

東名あおり運転死傷事故 裁判の判決

やり直し裁判~控訴審含む解説

2017年6月5日(月)の夜

神奈川県大井町の東名高速道路で

夫婦2人があおり運転被害により死亡した事故がありました。

東名あおり運転死傷事故(東名高速夫婦死亡事件)の詳細について

きっかけは、東名高速パーキングエリア内にて

迷惑駐車を注意した些細な事から大きなトラブルに発展してしまいます。

あおり運転の末に危険な高速道路の追い越し車線上(一番右車線)で、無理やり急停車させられた挙げ句に後続トラックに跳ねられて夫婦2人が亡くなられた事件になります。

詳しくは東名あおり運転死傷事故の真相(懲役18年)にて解説しております。

東名あおり運転死傷事故 裁判の判決については
(東名高速夫婦死亡事故)

・事故日: 2017年6月5日

・逮捕日: 2017年10月10日
・罪状: 危険運転致死傷の罪(懲役18年/検察からの求刑23年)

 あおり運転で、もっとも重い罪が適用される事になりました。

・第1審の判決: 2018年12月14日(懲役18年/求刑23年/横浜地裁) 

・やり直し裁判の判決: 2022年6月6日(懲役18年/求刑18年/横浜地裁)
・第2審の判決(控訴審): 2024年2月26日(懲役18年/東京高裁)

・最高裁: 現在、上告中

東名あおり運転死傷事故の裁判については

1.あおり運転をして車を止めさせた行為

2.車を走行していない停車状態での出来事(時速0km/h)

3.石橋被告は直接の事故を起こしていない点(萩山さん夫婦を死亡させたのは後続トラック)

これらの条件で「危険運転致死傷罪」が適用になるかどうかが争点になりました。

あおり運転死傷事故で罪が軽い「過失運転致死傷罪(無罪含む)」ではなく、もっとも罪が重い「危険運転致死傷罪」が適用されるかどうかの争いになっています。

検察側の主張として

”あおり運転”と”車を止めさせた行為”は夫婦の死亡事故と因果関係にあるとして、危険運転致死傷罪が成立する(あおり運転と無理やり停車させて死亡事故を誘発した一連の行為が危険運転に適用できる)

一方の弁護側の主張として

死亡事故は停車後に第三者のトラックによって発生しているので、あおり運転との因果関係はない(石橋被告は危険な状況を作ったけれども萩山さん夫婦を車で轢いていない点)

として裁判では争われておりましたが、

最終的に「危険運転致死傷罪」が適用となりました。

最初の判決で「懲役18年(検察の求刑23年)

その後、裁判所の不手際により
1審で違法な手続きがあった理由から)

異例のやり直し裁判が行われた判決でも「懲役18年(求刑18年)

その後、控訴審の2審判決でも変わらずの「懲役18年(1審判決を採用)」となりました。

これまでは罪が軽かった”あおり運転行為”という法改正1つのきっかけにもなりえる危険運転事件となりまして、事件発生から刑罰が確定するまで6年8ヶ月掛かっています(残りは最高裁あり)

その後、石橋被告は即日、最高裁に上告した事が分かりました。

これにより今後は最高裁で争われる事になりますが、懲役18年以上といった罪が重くなる事はありません(詳しくは後半で解説しております)

1審で下された判決より重い刑罰を課す事ができないために、検察もやり直し裁判から求刑23年 18年となっています。

横浜地裁の公判前整理手続きにて「危険運転致死傷罪の成立は認められない」と言っておきながらも裁判前の話し合い中に弁護側に見解の変更を告げず(詳しい説明をせず)に1審で「危険運転を認めた有罪判決(懲役18年)」とした事が問題視されました。

これにより1審判決を破棄(無効に)して審理を差し戻す「異例の最初から全てやり直し裁判」になってしまった経緯がございました。


裁判の公判内容について

検察からの質問: 文句を言うつもりで追いかけたと言っているが、何を言うつもりだったの?

石橋被告: そこは覚えていないです。

検察: 事件のきっかけでしょ…分からない?

石橋被告: 覚えていない。
検察: 無理して止めるつもりだった?

石橋被告: 無理やり止めるつもりはなかった。

検察: つもりもないのに4回にも渡って、あおり行為をした?相手を止める行為じゃないの?

石橋被告: その時は止めるつもりはなかった。
検察: じゃあ、どうして繰り返したの?

石橋被告: 勢いじゃないですかね
検察: 車は鉄の塊。その凶器をルールを守らずに運転すると社会が危険にさらされるという自覚は?

石橋被告: どうなんですかね。

検察: 萩山さんが亡くならなかったとしても悪いことをしたと思いますか?

石橋被告: 冷静になれば、思うんやないんですかね。
弁護人の質問: 最初の接点となったパーキングエリアで、萩山さんから「邪魔だボケ!」と言われた時どう思った?

石橋被告: ……「カチンときた」

弁護人質問: 萩山さんの車を何のために追いかけた?

石橋被告:「邪魔だボケ!」と言われて、むかついて追いかけた。
検察の質問: 何に腹が立った?

石橋被告: 「邪魔だ」だけなら良かったけど「ボケ」と言われてカチンときた
検察の質問: 社会復帰後に車を運転する?

石橋被告: こういう事件を起こしとるけん、乗る資格がない。

トラブル時に同乗していた

交際相手の女性法廷で証言しています。

弁護士: 車であおっている間、石橋被告との会話はあった?

女性: 何か話していた気がするけど、覚えてないです。

弁護士: トラブル時に高速道路を歩いて行く時、被告人には声をかけましたか?

女性: やめとき、あぶないけんと言いました。

弁護士: 被告人の反応は?

女性: 反応しませんでした。
弁護士: 石橋被告が父親に掴みかかった時、女性は石橋被告の腰あたりを引っ張って、子供たちがいるのでやめてと声をかけたようですが?

女性: 信じてもらえないかもしれないけど、石橋和歩は子供とかおじいちゃん、おばあちゃんには優しかったし、隙やったと思うので、そう行ったら辞めるかなと、うちは思いました。

弁護士: 女性が車に乗っている時は10回以上もあおり運転などのトラブルを起こして、過去に5回も警察沙汰になっていました。なぜ、そのような相手とドライブを続けていたのですか?

女性: 信じてもらえないかもしれないけれど、石橋和歩はうちには優しいんです。罪はちゃんと償ってほしいし、二度とこんな事はしないでほしい

石橋和歩被告は初公判~1審判決まで

上下黒いジャージにメガネのサンダル姿で現れます。

髪は少しボサボサで、右手にタオルを握りしめる。

交際相手の女性は涙ながらに一生懸命に語っている言葉を聞いて石橋被告はタオルで涙をぬぐるシーンもあったようです。


2018年12月14日(金)

横浜地裁の判決より

あおり運転死亡事故による

「危険運転致死傷罪」の成立は認めない!

からの

やっぱり「危険運転致死傷罪」を認めた上で、

”懲役18年の有罪”にする。

裁判長より

進路妨害を4回も繰り返し、被害者を停車させた一連の行為は

被害者の死亡と因果があるため、危険運転致死傷罪が成立する。

一方、停車後については「交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」に該当しないため、危険運転致死傷にはあたらない。

石橋被告のあおり運転行為によって

危険な状況を作り出した事は”被害者の死亡との因果関係はある”と認める。

但し、高速道路上で停車させた状態(速度0km/h)が危険運転による「重大な危険を生じさせる速度」と解釈するのは少し無理がるので、停車状態で大きな事故が生じたり、事故の回避が困難になったりする点においては、危険運転として認められない。

といった内容になりました。

複数人が死傷したという本件の結果は重大で、家族旅行の帰りに

突如その生命を奪われた嘉久さん(よしひさ)と友香さんの無念さは察するに余りある。

両親を一度に失った未成年者である子供ら遺族の悲しみは深く

被告人に対して、厳罰を求めるのも当然である。

この危険運転致死傷は複数人が死傷した同事案の中でも、重い部類に属するものといえる。
身勝手かつ自己中心的な動機から短絡的な犯行に及んでおり

(く)むべき余地はない。常軌(じょうき)を逸(いっ)している。

二度と運転をしないなどと反省の弁を述べてはいるが

真摯に反省しているとまでは評価できない

2019年12月6日(金)

東京高裁の判決より

石橋被告側が「控訴」した事で
(黒い上下スーツにノーネクタイ姿)

裁判長より

これまでの判決を「破棄する」

本件を横浜地方裁判所(横浜地裁)に差し戻す。

として

(横浜地裁の1審で)裁判過程に「違法な手続きがあった」

最初に言っている事と判決内容が矛盾していて、ちょっとおかしいです。

(本件を横浜地裁に差し戻し)最初から裁判をやり直して下さい。

横浜地裁の裁判前手続きに問題があったとして

まさかの異例となる「裁判のやり直し」となりました。

詳しい違法な手続きについては

Fnnプライムオンラインより

横浜地裁の公判前整理手続きにて「危険運転致死傷罪の成立は認められない」と言っておきながらも裁判前の話し合い中に弁護側へ見解の変更を告げずに1審で「有罪判決(懲役18年)」とした事が問題視されました。

横浜地裁が公判前 = 裁判開始前の意見聴取中に検察&弁護士に対して「危険運転致死傷罪は成立しません」と伝えておきながらも、説明をせずに勝手に危険運転と認めて判決を下した事が問題となりました。

それぞれの主張(意見)を聞かない段階で、横浜地裁が先走って裁判の方向性を勝手に決めてしまい「危険運転が成立する」と見解を変更したにも関わらず、弁護側に伝えなかった点が反論の機会を失ったと問題となりました。

これにより一審判決を破棄して審理を差し戻す

「異例の最初から全てやり直し裁判」になってしまった経緯がございました。


2022年1月27日(木)午前11時

最初から裁判のやり直し(横浜地裁)となります。

石橋被告より
(黒い上下スーツに青ネクタイを着用)

自分は事故になるような危険な運転はしていない

人が亡くなったり、ケガをするような事もしていません。

として前回と同じ「無罪を主張」しました。

石橋被告の弁護士より

今回の死亡事故は、悪質で危険なあおり運転ではありません。

交通法規無視のトラックが路上の人を見落とした

そういう事件です。

検察より

石橋被告の車が萩山(被害者)の車の前に

割り込むといったあおり運転を行った事が原因で

高速道路上で停車を余儀なくされて追突事故が起こった。

と主張しました。


2022年2月8日(月)

トラック運転手の男性より

車間距離を取っていたがワゴン車に衝突してしまった。

まさか車が止まっているとは思いませんでした。

弁護士より

供述調書(言っている内容)は正しいですか?

記憶は正しいですか?

と何度も質問を繰り返し

亡くなられた夫婦の娘さん

当時、小学6年生だった次女より

(石橋被告に対して)

事故の前の状態にお父さん、お母さんを戻してくれるなら許すけど

それは無理ですよね

死刑とか

それより、つらい事になって反省してほしいけど…

多分、無理なので、出来るだけつらい目に遭ってほしいです。

と泣きながらに語りました。

過去の公判の意見申述では以下の内容を述べています。

この事件がきっかけで、ドライブレコーダーを取り付ける車が増えて、あおり運転が減ったと聞いています。

両親の死が無駄ではなかったことがせめてもの救いです。
父と母は、きっとあなたを許さないと思います。

死ぬ直前は想像もできないくらい怖かった事と思います。

そう思うと私は夜も眠れません。

家族みんな一緒に死んでしまえば良かった

と何度、思ったことでしょうか。

私はキリスト教の学校に通っていて「人を許しなさい」と教えられていますが、これについては許せないし、許していいか分かりません。

2022年2月10日(水)

弁護士側の交通事故鑑定専門家より

被害者一家は車を停車せずに

車線変更する事でトラブルを回避できた

と証言しました。


2022年3月16日(水)

被害者の娘さん(長女)が2月に証言した際に4年前の証言と内容が違うという事で、質問を制限したために証人尋問のやり直しにより再実施となりました。

この事に関して、裁判長が謝罪をしました。

再び「石橋被告の元交際相手」と「被害者の娘さん(長女)」による証人尋問が行われました。

石橋被告が被害の車の前に”合計4回”割り込んで入った事が長女の証言から分かりました。


2022年3月18日(金)

石橋被告より

責任があるかないか分かりません。

特に自分は危険な運転はしていないけん。

なんとも思ってないです。

あおり運転の当時の状況について

分かりません。

何も考えていないです。

と多くを語りませんでした。

死亡した夫婦&遺族について問われると

大変な事と思います。

2022年3月30日(木)

検察より

執拗(しつよう)かつ危険で悪質な犯行

本来は懲役23年が相当だが

1審で、一度でも下された判決よりは

重い刑罰をかすことはできない。

として

「懲役18年」を求刑しました。

やり直し裁判は、これで終わります。

残りは判決のみとなります。

 刑事裁判の第1審で有罪判決を受けて控訴した場合、”被告人(罪に問われる側)の控訴のみであった場合”には1審の判決より重い刑を課される事はありません(差し戻しのやり直し裁判含む)

但し、検察側から不服として控訴があれば重い罪を課す事ができますが、今回の危険運転致死傷罪では懲役上限20年の限界があり、過去の判例(北海道砂川の2人に対して懲役23年)と照らし合わせても量刑はは重く出来ないと見ており、検察側は控訴していない経緯があります。

(不利益変更の禁止)第402条より「被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない」


2022年6月6日(月)

本日、午後1時30分に判決が下されました。

東名あおり運転による

判決の争点として

「あおり運転」と「トラック追突事故」の因果関係が争われています。

今回の事件に”危険運転致死傷罪”が成立するかどうか?になります。

<検察側の言い分>

・追突したトラックは原因ではない(悪くない)

・石橋被告が4回割り込むといった危険運転が関係している。

・あおり運転が原因で、無理やり停車されて死亡事故が起きた。

<弁護側の言い分>

・石橋被告: 危険運転はしていない(無罪主張)

・石橋被告の車による割り込みのあおり運転はなかった。

・死亡事故の原因はスピードを超過した後続トラックが原因だった。

気になる裁判所の判決は…?

横浜地裁より

石橋被告に対して

「懲役18年」の有罪判決
(執行猶予なしの実刑判決)

を言い渡しました。

 執行猶予 = 裁判確定の日から決められた年数、その刑の反省期間を設けるので刑務所に入らなくて良いという意味になります。

裁判長より

石橋被告のあおり運転は

被害者の冷静な判断を困難にさせて、高速道路上に停車させる行為を選択させた。 トラックが追突した死傷事故は、あおり運転の危険性が現実化したものと言える。

石橋被告のあおり運転によって死亡事故が起きてしまったと認める「危険運転致死傷の罪」が成立すると判断しました。

この後に再び控訴(こうそ)があると思います。

控訴 = 判決を不服として裁判のやり直しによる「減刑」を求めることを言います。

その後、石橋被告は控訴した事が分かりました。

石橋被告の弁護士より

判決後に石橋氏と面会して

本日中(判決が出た日)に控訴すると言っている。

石橋容疑者より

非常におかしい。

一方的で証拠をちゃんと理解してくれていない。

自分が述べた事もちゃんと理解されていないという事が、とても残念。

2023年12月13日(水)

東京高裁で控訴審が開かれました。

石橋被告の弁護士より

検察側は「石橋被告が4回の車線変更をした」と言っているが、おかしい。

カーナビに記録されたGPSデータを鑑定した所、「車線変更は2回のみ」だった。

として

やり直し裁判では判決前に検察が

急遽、主張を変えてきた事により弁護する機会を十分に与えられなかった。

この手続きは正義に反すると主張。

弁護側は専門家の証人尋問を求めましたが、裁判長が却下しました。

検察は控訴を退けるように求めて裁判は終結しました。

控訴審の判決は2024年2月26日(月)となっています。


2024年2月26日(月)

東京高裁で2回目の控訴審が開かれました。

東京高裁の裁判長より

石橋被告(32歳)に対して

車線変更や減速を繰り返す

あおり運転による危険行為によって

事故が引き起こされたとして

「危険運転致死傷罪」を認めた1審の判断に誤りはない。

として

石橋被告の控訴を退け(棄却)

一審の判決を支持となりまして

「懲役18年の判決」を言い渡しました。

石橋被告は退廷する際に

突然、裁判官3人に向かいまして

(大声を荒らげて)お前ら裁判官、

俺が出るまで待っとけよっ!

などと言って法廷を後にしました。

車のあおり運転のみならず

まさかの裁判官までをも挑発して煽ってしまいました。

これには思わず、過去のJT女性社員逆恨み殺人事件の二の舞いにならない事を願うばかりであります(強姦+致傷事件で実刑7年を受ける 出所後に逆恨みで1人殺害で死刑判決を受けた事件)

最後の捨てゼリフではないですが、今回は高裁判決となるため、最高裁に上告したとしてもこれ以上、罪が重くなる事はありません(一般的には上告は高裁判決の妥当性だけで量刑を決めたりしない)

それでも…?

裁判官にケンカを売ってしまった日には最後です。

今後、石橋被告が上告して最高裁で争われる事になりましたら

結局は自分にブーメランのように大ダメージとして返ってきてしまいます。

今度は裁判官より

(暴言吐かれて)カチンとくるけん。人間やけんになりかねません。

なぜなら、裁判官の中には被害者の気持ちに寄り添った

京都伏見介護殺人事件の真相(裁判官も涙した温情判決)もあるくらいであります。

今までの前例はなかった事として、前代未聞の「重罪(極刑)」が待ち受けてしまう事態に発展しかねませんので、日頃の行いがいかに大切だという事が思い知らされます。

過去に最高裁ではありませんが、裁判中に被告が被害者遺族(両親)がいる傍聴席に向けて舌のベロを出して煽った事で、無期懲役刑(1審) 逆転の死刑判決(2審)になった判例があります(福岡農協職員強盗殺人事件)

本人は「唇が乾いていて舌を出して舐めただけ」と控訴審(2審)で、苦しい言い訳を主張しましたが、認められず1973年の死刑判決から3年後に執行されました。さらに拘置所から何度も逃走しようとしていた素行が悪い人物でもありました(金属製タオル掛けを外して鍵を作成している最中にバレる)

もしくは、最高裁の上告は棄却(却下)されて

そのまま刑が確定して終わり(終結)といった可能性も考えられます。

既にやり直し裁判も含めて長期化(6年8ヶ月も経過)してしまっており、これ以上争っても”懲役18年”よりも罪が重くなる事もなく、控訴審判決の暴言を含めまして、棄却(認められず却下)される可能性が高いのではないかと言われております。

 刑事裁判の1審で有罪判決を受けて控訴した場合、”被告人(罪に問われる側)の控訴のみであった場合”には1審の判決より重い刑を課される事はありません(差し戻しのやり直し裁判含む)

但し、検察側から控訴があれば重い罪を課す事ができますが、今回の危険運転致死傷罪では懲役上限20年の限界があり、過去の判例(北海道砂川の2人に対して懲役23年)と照らし合わせても量刑はは重く出来ないと見ており、検察側は控訴していない経緯があります。

(不利益変更の禁止)第402条より「被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない」

唯一、検察側から”判決後の発言を問題視”して上告という可能性も残されています。

過去に永山事件&光市母子殺害事件では控訴審までは「無期懲役刑」 最高裁で「死刑判決」といった判例もありましたが、今回はやり直し裁判でも懲役18年の量刑は変わらず(検察の求刑も当初23年から18年に減刑)で、今回は検察側からの上告ではない理由から、最高裁で争われても量刑は増える事がないです。

少なくとも満期よりも早く出所できるであろう

「仮保釈」だけは認められなくなってしまったのは間違いなさそうです。

さらに上告が棄却された場合、”未決勾留日数は全く算入されない事が多い”ようです(申し立てから4ヶ月を超えると刑法21条より算入される事が多く、申し立てから上告棄却までに6ヶ月かかったケースでは未決勾留日数は80日算入されるケースあり)

石橋被告は黒い上下のスーツにメガネをかけマスク姿で入廷して、判決の言い渡し最中にはイスに座って腕を組みながら聞いており、時折、首を傾けたり、足を小刻みに揺らしたりの貧乏ゆすりの様子が見受けられたようです。

懲役18年となっておりますが、既に約7年が経過しております。

裁判中の拘置所に入っていた期間による未決勾留期間(実際に勾留された日数)が引かれる事があるため、別荘こと刑務所にいる期間は残り10年~13年前後で出てこれる計算となります。

早ければ、2035年前後に年齢43~45歳にして出所予定となります。

必ず未決勾留期間が引かれる訳ではなく、あくまでも裁判官の裁量で決定します(基本30日+裁判した回数 x 10日。例:100日勾留されて裁判1回なら40日引かれます)拘置所 刑務所に引き渡される際には裁判官が書く書類に仮保釈有無の判断もされ、”慎重 or おおらかにする”といった評価も補足されています。

再犯を繰り返さない事を願うばかりでありますが、参考までに元受刑者による再犯率は「49.1%」で、2人に1人が再犯者になっています(法務省発表の犯罪白書2021年度より)

ここまで反省していない悪態となりますと…?

検察からの23年求刑(当初)でも量刑があますぎるといった意見が多く

世間からは「最低でも懲役30年(未決勾留除く)」+「運転免許は一生取り消し(再取得不可)」が妥当な判決という声で溢れかえりそうであります。

それでも、こっそり運転出来てしまう「無免許運転」という犯罪行為が横行している事も忘れてはなりません。

その一方で、裁判の論点が解決しきっておらず、国民感情論で裁いている部分もあると指摘されており、最高裁までいく可能性がありえるとも言われております。

その理由として

1.危険運転とは「交通の危険を生じさせる速度で、自動車を運転する行為」とされていますが、石橋被告が運転していた車は停車していた。

2.事件のきっかけは、萩山さん夫婦(被害者)が石橋被告を注意して、あおった事とされているが、裁判では量刑に加味されていない点。

3.石橋被告は一貫して「相手の運転手に文句は言ったが、車から降車される意思はなかった」と言っている。

「車を無理やり停止させる行為」と「被害者が降車して起きた追突事故」との”因果関係は危険運転致死傷罪として認められたけど薄い”とも言われる始末でありました。

その証拠として、事故発生から逮捕まで4ヶ月もの期間が掛かっております。

これは石橋被告が最初の供述で「萩山さんにあおられたから止まった」と嘘をついていた事もありますが、ドラレコから1台1台チェックして証拠を洗い出す裏付け作業に時間が掛かった事も関係していると思います(神奈川県警が懸命にしっかりと仕事をしてくれたレアケースとなっております)

一応は高速道路上の追い越し車線で、無理やり強制停車させる行為は「(誰でも分かるレベルにて)死に直結する危険行為 = 殺人行為」とも言われていますね。

また、石橋被告は「高速道路上に、お前を投げて殺してやろうか?」という脅迫(殺人罪)を適用しかねない発言をしています。

その一方で、当時の状況からいって”石橋被告も被害者と同じ危険な場所にいるという事から殺意はない”といった屁理屈が通じてしまいそうなのが恐ろしい所でもあります。

単純に高速道路上で、急停車させる行為が危険行為とは理解していなかった可能性も否めません。

危険運転致死傷 = 飲酒運転&薬物による運転行為/猛スピード&無免許の暴走行為/信号無視&通行禁止道路を走行して危険を生じさせる行為。

人 または 車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入して、その他の通行中の人 または車に著しく接近して重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為(東名あおり運転の危険行為に該当)

その後、高速道路または自動車専用道路で、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止して停止または徐行させる行為(東名あおり運転事故きっかけで、2020年6月に改正され新たに追加されました)

罰則: 被害者が死亡した場合(1年以上~20年以下の懲役) / 被害者が負傷した場合(15年以下の懲役)

このように危険運転致死傷罪だと「最高懲役の上限は20年まで」となっている事も関係しているようです(とは言いつつも、砂川市一家5人死傷事故では2人に対して懲役23年が適用されています)

世間から軽すぎると言われる「懲役18年」という刑期には理由があったようなのです。

詳しくは東名あおり運転死亡事故 懲役18年の理由で解説しております。


トラック運転手の判決については

詳しくは東名あおり運転死亡事故 トラック運転手の判決(罰則)にて解説しております。

ここで忘れてはならない最大のポイントとして

石橋被告トラック運転手

全てが”あおり運転行為きっかけ”により

結果的に「最悪な死亡事故に繋がってしまった」

という点であります。

それだけあおり運転は危険かつ

いかに愚かな行為であるという事を意味しております。

今後の教訓としまして

二度と同じ被害を生まないためにも

そもそもの原因として

石橋被告が変な所に

駐車していなければ何も起きなかった。
(普段からの素行の悪さがいずれ最悪な結末を迎える事は時間の問題だった)

それを見かねた萩山さんが

正義感から余計な事をせずに

”口の聞き方”にもっと気をつけていれば良かった
(世の中は全員が全員まともな人とは限らない)

そして、タラレバの話になりますが、

・石橋被告が”カチンとくるけん”しなければ良かった(高速道路上で、急停車させなければ良かった)

・トラック運転手が、きちんと交通ルールを守って追い越し車線を走りつつ、あおり運転していなければ良かった(十分な車間距離を取っていれば良かった)

どれか1つでも該当していなければ、

悲惨な事故は起きなかったとも言われており

この事から

・1番悪いのは「石橋被告」

・2番目に悪いのが「被害者の父親」

・3番目に悪いのが「トラック運転手」

と言われる始末であります。

でも、真面目な話が

いずれの方々も”トラブルの原因となりえる言動を自然としてしまっている”

という問題点も絶対に忘れてはなりません。

遅かれ早かれ…何らかの重大トラブルになったり、巻き込まれていたのは時間の問題だった!と言われてもおかしくありません。

そのくらいまでに一人ひとりの言動に反省すべき注意する点があったとも言えそうです。

いずれにしましても

東名あおり運転の争点となった

「危険運転致死傷罪」が認められた判決(結果)となりました。

検察側は”あおり運転”と”車を止めさせた行為”は夫婦の死亡と因果関係にあるとして、危険運転致死傷罪が適用となる(弁護側:事故は停車後に発生しているので、あおり運転との因果が関係はない)

”懲役18年”は検察が求めていた求刑年数でありましたが、やり直し裁判前(1審)と変わらずの年数となっています。

やり直し裁判前の一審では「懲役23年」を求刑していました。

これにより、あおり運転の末に死亡させた事故においては

第三者の追突事故で亡くなられたとしても

全ては、きっかけを作った側の

あおり運転をした方が悪い =「危険運転致死傷罪を認める」

つまりは

どんな事がきっかけであっても

あおり運転をして原因を作った方が悪い = 全ての責任を負う義務となる。

どんな事情があろうとも…?

暴力と一緒で”最初に手を出した方が悪い(負け)” = あおり運転をした方が悪いと同じ扱いになりました。

世間の声としましては

被害者である旦那さんの”注意の仕方に問題があった”と言われつつも、石橋被告の普段の行いが悪すぎると言われており、「東名あおり運転は、どっちもどっち」と言われる始末でありました。

その上で、石橋被告の判決については、直接ではなくとも間接的に2人も死亡しているのに「懲役18年」といった年数は、明らかに少なすぎる(量刑が軽すぎる)といった意見が多くありました。

今回の厳しい判決に伴いまして、今後あおり運転で何らかの問題が発生した際には、どんなきっかけ&事情があったとしても…?

「あおり運転する側が悪い」という事を前提に、その前の過程で何があろうとも、きっかけとなりえる原因を作った側よりも死亡に繋がる行為をした方が「全ての責任」を負わなければいけない

という事を頭の隅にいれておきつつも

あおり運転行為が「かなり厳罰化されて厳しくなった」

という事が証明された事件(判決)になりました。

東名あおり運転夫婦死亡事故から半年(6ヶ月)が経過して

2018年1月 警察庁は、あおり運転の取り締まりを強化するため、全国の警察署に通達した事により各地で積極的にあおり運転行為による交通取り締まりが行われるようになりました。

一般的な交通違反の罰則とは別にあおり運転等の危険行為をする運転手に対して、危険性帯有者として”180日間(6ヶ月)の免許停止処分”が課されるようになりました。

危険性帯有者(きけんせいたいゆうしゃ)= 通常のあおり運転の罰則(違反点数25点+一発免許取り消し)とは別物で、あおり運転行為で、暴行・傷害・脅迫・器物破損をした者が対象になります(その他、危険ドラッグ/暴走行為/わざと交通事故を起こして保険金を騙し取る行為)

詳しい事故当時の内容&裁判の判決を含みまして

これまでの経緯については以下にてまとめて解説おります。

東名あおり運転死亡事故の真相(懲役18年)

ぜひ1つの参考にして頂ければ幸いです。

東名あおり運転死傷事故の真相(懲役18年)

東名あおり運転死亡事故 裁判の判決(やり直し裁判含む解説)

東名あおり運転死亡事故 トラック運転手の判決(罰則)

東名あおり運転死亡事故 石橋和歩の生い立ち(人物像)

東名あおり運転死亡事故 懲役18年の理由

東名あおり運転死亡事故 娘&被害者遺族のコメント

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東名あおり運転死亡事故 デマを流した5人に賠償金判決