東名あおり運転死亡事故 懲役18年の理由
● 東名あおり運転 夫婦死亡事故 懲役18年の理由
2017年6月5日(月)の夜
神奈川県大井町の東名高速道路で
夫婦2人があおり運転被害により死亡した事故がありました。
東名あおり運転死傷事故(東名高速夫婦死亡事件)の詳細について
きっかけは、東名高速パーキングエリア内にて
迷惑駐車を注意した些細な事から大きなトラブルに発展してしまいます。
あおり運転の末に危険な高速道路の追い越し車線上(一番右車線)で、無理やり急停車させられた挙げ句に後続トラックに跳ねられて夫婦2人が亡くなられた事件になります。
詳しくは東名あおり運転死傷事故の真相(懲役18年)にて解説しております。
東名あおり運転死傷事故の裁判については
(東名高速夫婦死亡事故)
・事故日: 2017年6月5日 ・逮捕日: 2017年10月10日
・罪状: 危険運転致死傷の罪(懲役18年/検察からの求刑23年)
※ あおり運転で、もっとも重い罪が適用される事になりました。
・第1審の判決: 2018年12月14日(懲役18年/横浜地裁) ・やり直し裁判の判決: 2022年6月6日(懲役18年/横浜地裁)
・第2審の判決(控訴審): 2024年2月26日(懲役18年/東京高裁)
東名あおり運転死傷事故の裁判については
1.車は走行していない停車状態の出来事(時速0km/h)
2.石橋被告は直接、事故を起こしていない点(萩山さん夫婦を死亡させたのは後続トラック)
これらの条件で「危険運転致死傷罪」が適用になるかどうかが争点になりました。
※ あおり運転死傷事故で罪が軽い「過失運転致死傷罪(無罪含む)」ではなく、もっとも罪が重い「危険運転致死傷罪」が適用されるかどうかの争いになっています。
検察側の主張として
”あおり運転”と”車を止めさせた行為”は夫婦の死亡事故と因果関係にあるとして、危険運転致死傷罪が成立する(あおり運転と無理やり停車させて死亡事故を誘発した一連の行為が危険運転に適用できる)
一方の弁護側の主張として
死亡事故は停車後に第三者のトラックによって発生しているので、あおり運転との因果関係はない(石橋被告は危険な状況を作ったけれども萩山さん夫婦を車で轢いていない点)
として裁判では争われておりましたが、
最終的に「危険運転致死傷罪」が適用となりました。
最初の判決で「懲役18年(検察の求刑23年)」
その後、裁判所の不手際により
(1審で違法な手続きがあった理由から)
異例のやり直し裁判が行われた判決でも「懲役18年(求刑18年)」
その後、控訴審の2審判決でも変わらずの「懲役18年」となりました。
これまでは罪が軽かった”あおり運転行為”という法改正1つのきっかけにもなりえる危険運転事件となりまして、事件発生から刑罰が確定するまで6年8ヶ月となりました。
その後、石橋被告は最高裁に上告した事が分かりました。
これにより最高裁で争われる事になります。
※ 横浜地裁の公判前整理手続きにて「危険運転致死傷罪の成立は認められない」と言っておきながらも見解の変更を告げず(詳しい説明をせず)に1審で「危険運転を認めた有罪判決(懲役18年)」とした事が問題視されました。
これにより1審判決を破棄(無効に)して審理を差し戻す「異例の最初から全てやり直し裁判」になってしまった経緯がございました。
詳しい裁判の内容は東名あおり運転死亡事故 裁判の判決(やり直し裁判含む解説)にて解説しております(やり直し裁判含む)
世間から軽すぎると言われる「懲役18年」という刑期には理由があったようです。
本事件は裁判員裁判(1審のみ)で行われており
裁判員をされた女性(45歳)のコメントより
※ 控訴後の二審判決では裁判員は参加せずに裁判官のみで行われております。
グッディ!より
Q. 判決に悩んだ点について
今回は危険運転致死傷の元の資料がなく、みんなで意見を交換した。
被害者の気持ちになる事が多々あったんですけど
そこは公平に見なくてはならず、非常に難しかった。
Q. 裁判を通じて今後への意見は?
法律って縛りがあるなと思った。
法廷で話す中で、ここで決まっているから
動かせないとかあったので、どうにかできないかと個人的に思った。
→ これまでの危険運転致死傷罪が適用になった判例がハードルになっており、裁判員は本事案だけを見て”懲役何年と自由に決める事が出来ない”と言われています。
過去の事例も照らし合わせて、どういった所に位置づけられるのか比較によっても量刑を決めていかなければいけないと定められています。
Q. 求刑23年に対して懲役18年になった理由は?
個人的な感情を含めて、最後はみんなで話して決めた。
(5年の減刑)色々な意見がある中で多かった意見として「過去の判例(最大23年)」も考慮した。
過去の判例については
2015年6月6日に北海道砂川市で起きた
4人死亡+1人重体の一家5人が被害となった砂川市一家5人死傷事故。
飲酒運転状態で暴走レースをして、赤信号を無視して時速111km/hの猛スピードで交差点に突っ込んで、一家5人が乗る軽自動車をひき逃げした事件(最高速度は170km/hでレースが行われていた)
軽自動車は約60km飛ばされて大炎上後、夫婦は即死。
長女は車外に投げ出されて車体の部品に突き刺さり即死。
長男も車外に飛び出し、もう一人が運転する車に轢かれて1.5kmに渡り引きずられて窒息死。
唯一、次女のみ重体から回復しましたが、脳に重い障害が残っています。
危険運転致死罪として2人に「懲役23年」となりました(検察の求刑23年)
このような事情から懲役18年になっているようです。
2024年2月26日(月)
東京高裁で2回目の控訴審判決が開かれましたが
石橋被告の控訴を退け(棄却)
一審の判決を支持となりまして
「懲役18年の判決」を言い渡しました。
石橋被告は退廷する際に
突然、裁判官3人に向かいまして
(大声を荒らげて)お前ら
俺が出るまで待っとけよっ!
などと言って法廷を後にしました。
車のあおり運転のみならず
まさかの裁判官までをも挑発して煽ってしまいました。
これには思わず、過去のJT女性社員逆恨み殺人事件の二の舞いにならない事を願うばかりであります(強姦+致傷事件で実刑7年を受ける → 出所後に逆恨みで1人殺害で死刑判決を受けた事件)
最後の捨てゼリフではないですが、今回は高裁判決となるため、最高裁に上告したとしてもこれ以上、罪が重くなる事はありません(一般的には上告は高裁判決の妥当性だけで量刑を決めたりしない)
それでも…?
裁判官にケンカを売ってしまった日には最後です。
今後、石橋被告が上告して最高裁で争われる事になりましたら
結局は自分にブーメランのように大ダメージとして返ってきてしまいます。
今度は裁判官より
(暴言吐かれて)カチンとくるけん。人間やけんになりかねません。
なぜなら、裁判官の中には被害者の気持ちに寄り添った
京都伏見介護殺人事件の真相(裁判官も涙した温情判決)もあるくらいであります。
今までの前例はなかった事として、前代未聞の「重罪(極刑)」が待ち受けてしまう事態に発展しかねませんので、日頃の行いがいかに大切だという事が思い知らされます。
※ 過去に最高裁ではありませんが、裁判中に被告が被害者遺族(両親)がいる傍聴席に向けて舌のベロを出して煽った事で、無期懲役刑(1審)→ 逆転の死刑判決(2審)になった判例があります(福岡農協職員強盗殺人事件)
本人は「唇が乾いていて舌を出して舐めただけ」と控訴審(2審)で、苦しい言い訳を主張しましたが、認められず1973年の死刑判決から3年後に執行されました。
さらに拘置所から何度も逃走しようとしていた素行が悪い人物でもありました(金属製タオル掛けを外して鍵を作成している最中にバレる)
もしくは、最高裁の上告は棄却(却下)されて
そのまま刑が確定して終わり(終結)といった可能性も考えられます。
※ 過去に永山事件&光市母子殺害事件では控訴審までは「無期懲役刑」→ 最高裁で「死刑判決」といった判例もありましたが、今回はやり直し裁判でも懲役18年の量刑は変わらず(検察の求刑も当初23年から18年に減刑)で、今回は検察側からの上告ではない理由から、最高裁で争われても量刑は増える事がないです。
唯一、検察側から”判決後の発言を問題視”して上告という可能性も残されています。
少なくとも満期よりも早く出所できるであろう
「仮保釈」だけは認められなくなってしまったのは間違いなさそうです。
さらに上告が棄却された場合、”未決勾留日数は全く算入されない事が多い”ようです(申し立てから4ヶ月を超えると刑法21条より算入される事が多く、申し立てから上告棄却までに6ヶ月かかったケースでは未決勾留日数は80日算入されるケースあり)
石橋被告は黒い上下のスーツにメガネをかけマスク姿で入廷して、判決の言い渡し最中にはイスに座って腕を組みながら聞いており、時折、首を傾けたり、足を小刻みに揺らしたりの貧乏ゆすりの様子が見受けられたようです。
懲役18年となっておりますが、既に約7年が経過しております。
裁判中の拘置所に入っていた期間による未決勾留期間(実際に勾留された日数)が引かれる事があるため、別荘こと刑務所にいる期間は残り10年~13年前後で出てこれる計算となります。
早ければ、2035年前後に年齢43~45歳にして出所予定となります。
※ 必ず未決勾留期間が引かれる訳ではなく、あくまでも裁判官の裁量で決定します(基本30日+裁判した回数 x 10日。例:100日勾留されて裁判1回なら40日引かれます)拘置所 → 刑務所に引き渡される際には裁判官が書く書類に仮保釈有無の判断もされ、”慎重 or おおらかにする”といった評価も補足されています。
再犯を繰り返さない事を願うばかりでありますが、参考までに元受刑者による再犯率は「49.1%」で、2人に1人が再犯者になっています(法務省発表の犯罪白書2021年度より)
ここまで反省していない悪態となりますと…?
検察からの23年求刑(当初)でも量刑があますぎるといった意見が多く
世間からは「最低でも懲役30年(未決勾留除く)」+「運転免許は一生取り消し(再取得不可)」が妥当な判決という声で溢れかえりそうであります。
その一方で、裁判の論点が解決しきっておらず、国民感情論で裁いている部分もあると指摘されております。
その理由として
1.危険運転とは「交通の危険を生じさせる速度で、自動車を運転する行為」とされていますが、石橋被告が運転していた車は停車していた。
2.事件のきっかけは、萩山さん夫婦(被害者)が石橋被告を注意して、あおった事とされているが、裁判では量刑に加味されていない点。
3.石橋被告は一貫して「相手の運転手に文句は言ったが、車から降車される意思はなかった」と言っている。
→「車を無理やり停止させる行為」と「被害者が降車して起きた追突事故」との”因果関係は危険運転致死傷罪として認められたけど薄い”とも言われる始末でありました。
その証拠として、事故発生から逮捕まで4ヶ月もの期間が掛かっております。
これは石橋被告が最初の供述で「萩山さんにあおられたから止まった」と嘘をついていた事もありますが、ドラレコから1台1台チェックして証拠を洗い出す裏付け作業に時間が掛かった事も関係していると思います(神奈川県警が懸命にしっかりと仕事をしてくれたレアケースとなっております)
一応は高速道路上の追い越し車線で、無理やり強制停車させる行為は「(誰でも分かるレベルにて)死に直結する危険行為 = 殺人行為」とも言われていますね。
※ 危険運転致死傷 = 飲酒運転&薬物による運転行為/猛スピード&無免許の暴走行為/信号無視&通行禁止道路を走行して危険を生じさせる行為。
人 または 車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入して、その他の通行中の人 または車に著しく接近して重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為(東名あおり運転の危険行為に該当)
その後、高速道路または自動車専用道路で、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止して停止または徐行させる行為(東名あおり運転事故きっかけで、2020年6月に改正され新たに追加されました)
罰則: 被害者が死亡した場合(1年以上~20年以下の懲役) / 被害者が負傷した場合(15年以下の懲役)
このように危険運転致死傷罪だと「最高懲役の上限は20年まで」となっている事も関係しております(とは言いつつも、砂川市一家5人死傷事故では2人に対して懲役23年が適用されています)
東名あおり運転による争点となった
”危険運転致死傷罪”が認められた判決結果となりました。
「懲役18年(当初は23年求刑)」は検察が求めていた年数であり、
やり直し裁判前と同じ年数となっています。
それだけ”あおり運転は厳罰化された”という事を意味しております。
詳しい事故当時の内容&裁判の判決を含みまして
これまでの経緯については以下にてまとめて解説おります。
ぜひ1つの参考にして頂ければ幸いです。
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