相続放棄の手続き 簡単解説(必要書類/費用/期限/兄弟)

● 相続放棄手続きのやり方と手順 簡単解説
自分でやるための必要書類&財産放棄(借金を引き継がない方法)
相続放棄の基礎解説~やり方と手順になります。
いずれも弁護士から司法書士サイトで解説されている事が多いのですが、難しい用語(単語)が使われている事があり、理解するまで一苦労される事が多いですね。
そして、一番知りたかった肝心な情報がなかったりする事があります。
今回は「相続放棄をご自身(自分)でやられる方の手順解説」になります。
相続放棄に必要となる基礎知識&書類作成の要点を簡単にまとめております。
相続放棄をする or しないに関わらず
家族・親族がいる方においては
突然、明日から「借金を背負わさられる日」がやってくるかもしれない
というリスクが十分にあるために知識として頭の隅にいれておく事が何よりも大切になります。
当方でも
まさか「兄弟/姉妹」から「甥(おい)姪(めい)」にまで 法定相続人(法律で決まった相続人)に勝手にされてしまい 必然的に「借金」を背負う事になってしまう事もあるのか!
と知った日には驚きでありました。
そんな最悪な事態になった時を想定して、いざという時のために調べてまとめたメモ内容になっております。
誰でも理解できるように1つ1つ分かりやすく簡単に解説しておりますので、ぜひご覧になって頂ければ幸いです。
ご自身で申請する事が面倒に感じたりする方は
プロの専門家である司法書士・弁護士へ依頼可能です。
平均費用の相場としましては「3万~4万前後」になります。
※ 行政書士さんは相続人の調査・相続財産調査・遺産分割協議書の作成・遺言書の作成(助言のみ)までは可能なのですが、相続登記・相続放棄手続きは出来ません。
相続とは?
簡単に説明しますと
死亡 = 亡くなられた方の
1.残された「遺産」を引き継ぐ権利 2.残された「借金」を引き継ぎ権利
どちらとも残された家族(親族・身内)に忘れた頃に降り掛かってくる問題となります。
あまり知られていない事が多いのですが、
本人が気づかず知らぬ間に「自動的に家族が相続人」となってしまいます
ので、必ず相続の遺産&借金の引き継ぎ順位を覚えておく必要があります。
よくあるケースとして
兄弟・姉妹は相続人ならないと思われがちなのですが、とんでもないです。
自動的に兄弟・姉妹にも降り掛かってくる相続問題となります。
残された財産があれば問題ないのですが、借金が降り掛かってくる訳であります。
また、死亡する前には相続放棄の手続きは出来ませんので、ご注意下さいませ。
まず日本の決まりの法定順として
自動的に相続人になってしまうのは
結婚相手(婚約者)= 配偶者は常に「相続人」となります。
その上で、
次に相続人となる人は亡くなられた方の
1位: 子供(息子/娘) 2位: 両親(父/母)= 正確には親族に近い人が優先 3位: 兄弟・姉妹
となっています。
→ 2位の両親の父母が亡くなられていた場合には、次に祖父母(じいちゃん・ばあちゃん)が相続人になります。
3位の兄弟でも子がいる場合で、既に親が死亡していた場合には「甥(おい)・姪(めい)」が3位の相続人になります。
これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といって本来相続人となるはずの人が亡くなった場合に、その下の世代の子供やらがに相続権が移るややこしい制度になっています。
但し、親が生きていて相続放棄すれば、子供は相続人になりません。
この場合には甥・姪は手続きは相続放棄の手続きは不要になります。
※ 甥(おい)・姪(めい)= 兄弟の子供になります。
相続人の自分の順番が来る前に相続放棄はできませんので、ご注意下さいませ。
1位~2位の子供~両親が相続放棄していない状況にて、3位の兄弟・姉妹が相続放棄を申請する事はできません。
必ず先着順位の1位の子供 → 2位の両親 → 3位の兄弟・姉妹といった1つ1つ順番に申請が受理されて認められてからでないと相続放棄の申請は出来ませんので、ご注意下さいませ。
但し、親族内で話し合った上で、相続人が同時に申請する分には問題ないようです。
遺産(財産)& 借金をそのまま相続して引き継ぐ場合には
何も手続きする必要はありません。
→ 財産を引き継ぐケース場合には亡くなられた後の家族・親族間の相続問題に発展する事が多くあります。
家族・親族間の仲が悪くならないようにトラブルに発展する前に、生前の本人が生きている内に遺言書を残すなり、財産の遺産相続手続き(相続登記)をしておく事が大変おすすめですね。
相談窓口としては、司法書士&行政書士になります。
弁護士と同じく有資格を持った不動産&相続関連の書類登記の専門家が司法書士さん
身近な相談から一般的な書類作成の専門家が行政書士さんになります。
行政書士は、相続人の調査・相続財産調査・遺産分割協議書の作成・遺言書の作成(助言のみ)までは可能なのですが、「相続登記」&「相続放棄手続き」は出来ません。
司法書士さんは全ての業務を対応してくれるのですが、お値段は少々高めになります。
お値段が安い方が行政書士になりますが、相続登記&相続放棄手続きが出来ません。
相続&不動産に関する書類登記が必要な場合には司法書士さんへ依頼
→ 裁判所から法務局の書類作成&申請手続きが可能になります。
一般役所の書類~的な書類作成~身近な相談は行政書士さんに依頼
→ 自治体(市役所/区役所/市区町村役場/役所)の書類&事実証明書の作成が可能になります。
上記それぞれで使い分けるものと覚えておけば、完璧です。
残された遺産(財産)よりも借金が多かった場合で、
本人に返済する意思がなければ、「相続放棄の手続き」が必要になります。
相続放棄の条件として
1.期限は、”死亡を知った日”から原則として「3ヶ月以内の手続き」が必須になります。
3ヶ月を過ぎると申し立てが必要になったり、手続きがややこしくなります。
また債権者(借金の取り立て)からの催促書&支払通知が届いている場合にはコピーが必要になります(郵送されてきた場合は封筒の表&裏もコピーが必要になります)
アドバイスとしましては
期限がギリギリで迫っている方については、添付書類が揃っていなくとも
ひとまず相続申請書(申述書)だけ提出して受付手続きを済ませておく事がおすすめでございます。
これにより3ヶ月以内の期限に間に合わせる事が出来ますので、覚えておくと便利です。
相続放棄の条件として
2.相続財産に手をつけない&処分しない事が大切です。
処分したかどうかは自己申告になりますので、
裁判所が独自に調査する訳ではありません。
3.相続放棄できるチャンスは一度のみ
相続放棄をできるチャンスは「一回」のみとなります。
よほどの特殊なケースで限りは、「相続放棄が認められない」という事はありません。
下記2つの条件が揃えば、必ず相続放棄は認められてくれると言われています。
1.相続財産の処分を勝手にしないこと 2.死亡を”知った日から3ヶ月以内”に相続放棄手続きをする事
まず一般的な「財産放棄」といった理由であれば、きちんと認められますので、ご安心下さいませ。
司法統計による相続放棄が認められない却下率について
(日本全国の最高裁判所事務総局発表)
・2021年: 0.14% ・2020年: 0.18% ・2019年: 0.24%
ご覧の通り、全体の1%も満たない確率となっております。
チョコボールの金のエンゼルが当たる確率よりも低いかもしれません。
万が一、認められずに不服がある場合には即時抗告 = 高等裁判所に申し立てする事ができますが、よほどの事がない限りは滅多にありません。
即時抗告をする場合は、審判の告知を受けた日の翌日から「2週間以内」になります。
相続手続きに必要になる書類については
誰がするかによって必要書類が変わってきます。
絶対に必要になる物として
・収入印紙(800円)
→ 申請用紙(相続放棄申述書)に貼り付けます。
・郵便切手(合計470円分 = 84円x5枚+10円切手5枚)
→ 裁判所からの送られてくる書類返送時に必要になります。
切手代 470円は横浜家庭裁判所の場合になっております。
切手代は家庭裁判所によって変わる事がありますので、事前に要確認です。
横浜地方裁判所の場合には470円になっています。
・相続放棄申述書(相続放棄の申請用紙)
相続放棄するために必要な申請書になります。
お住まいの地方裁判所(家庭裁判所)の公式Webサイトからダウンロード可能です。
1.相続放棄する人の「戸籍謄本」or「除籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)」 2.死亡した人の「戸籍謄本」or「除籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)」 3.死亡した人の「戸籍附票」or 「住民票の除票」
※ 改製原(かいせいはら)戸籍謄本 = 一昔前の戸籍の旧法戸籍が記載されています。
※ 離婚歴等がある方は除籍謄本になる事があります。
申請先については
最寄りの家庭裁判所(地方裁判所)になります。
相続放棄申述書は裁判所にてダウンロードする事ができます。
・相続放棄申述書(PDF) ・相続放棄申述書(記入例)
必要書類と費用を簡単にまとめますと…?
1.相続放棄する人の「戸籍謄本」または「除籍謄本(除籍・改製原戸籍)」
死亡した人と相続放棄する本人の繋がりが分かる書類が必要になります。
2.死亡した人の「戸籍附票」または「住民票の除票」
死亡した人の最後の住まい&死亡により住民票から外れた書類が必要になります。
3.死亡した人の「戸籍謄本」または「除籍謄本(除籍・改製原戸籍)」
死亡した人の生まれた時から死亡するまで全てが記載されている書類が必要になります。
→ 合計3通の書類が必要になります。
上記は兄弟・姉妹が相続放棄する場合に必要となる書類になります。
大抵のケースの場合、上記3点の資料にて間に合います。
戸籍謄本の書類については
誰が相続放棄するかによって 戸籍謄本の「必要書類」と「枚数」が変わってきます。
簡単に説明しますと…?
1.”死亡した人”と”相続放棄する人(配偶者 or 両親=母/父/祖父母 or 兄弟&姉妹)”の「繋がりが分かる戸籍の書類」があればOKになります。
→ 相続放棄する人の「戸籍謄本」または「除籍謄本(除籍・改製原戸籍)」
2.死亡した人の「生まれた時から死亡するまで全てが記載されている書類」が必要になります。
→ 死亡した人の「戸籍謄本」または「除籍謄本(除籍・改製原戸籍)」
3.死亡した人の最後の住まい&死亡により住民票から外れた書類が必要になります。
→ 死亡した人の「住民票の除票」または「戸籍附票」
上記3点が必要となる大前提の書類として
配偶者(婚約者)&子供が相続放棄する場合には
「相続放棄する人(結婚相手の婚約者)」と「死亡した人」の繋がりが分かる戸籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)が必要になります。
兄弟・姉妹が相続放棄を行う場合には
「死亡した方 = 被相続人である両親(父母/祖父母)が死亡した記載がある戸籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)」が必要になります。
※ 直系尊属(ちょっけいそんぞく)=死亡した人の父母/祖父母になります。
死亡した人に子供がいる場合には
「子の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)」が必要になります。
甥・姪が相続放棄する場合には
「自分の親(本来の相続人)の死亡した記載がある戸籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)」が必要になります。
戸籍謄本の提出については
数人が同時に提出する場合、共通する書類は「1通だけでOK」となっています。
直近のスケジュールにて相続人1位・2位・3位の方が立て続けに申請したり同時に申請する場合、既に戸籍謄本を提出済みで、親族関係の繋がりが確認出来ている場合には改めて追加の提出は不要になります。
同じ繋がりが分かる書類を二度も三度も送る必要はないという意味になります。
戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)については
あくまでも親族関係の繋がりを確認するために必要となる書類になります。
この意味だけ、しっかりと覚えておく必要があります。
何よりも無駄が必要を掛けないためにも大切ですね。
戸籍謄本の費用として
相続放棄する人の
・戸籍謄本: 450円 or 除籍謄本(改製原戸籍謄本):750円
亡くなられた本人の
・戸籍謄本: 450円 or 除籍謄本(改製原戸籍謄本): 750円 ・戸籍附票謄本: 250円
→ 合計 1,150円(合計1,750円)
戸籍謄本の料金は自治体(市役所/区役所/市区町村役場/役所)によって異なる事がございますので、事前に要確認です。
現在は、ほとんど同じ料金に設定されている事が多いです。
手続きの流れとしましては
1.家庭裁判所に必要書類を揃えて「郵送」で提出します。
直接、窓口へ出向いて提出する方法でもOKです。
申請内容に不備がなければ、
家庭裁判所より「照会書」という書類が送られてきます。
この照会書 = 裁判官からの質問状になります。
2.「照会書」の質問に回答して郵便で返送します
照会書 = 誰でも分かる簡単な質問内容になっております。
具体的な質問内容として
Q1.相続放棄は自分の意思によるものなのか?
Q2.相続人になった事を、いつ知ったのか?
Q3. 相続放棄する理由を教えて下さい
Q4. 相続人の財産を処分した事がありますか?
たった上記4点のみになります。
以上にて無事に相続放棄が認められますと…?
3.「相続放棄申述受理通知書」が家庭裁判所から届きます。
相続放棄申述受理通知書 = 相続放棄が無事に認められたという通知書になります。
以上にて「相続放棄」は完了となります。
最後に債権者に証明するための書類として
「相続放棄受理申述受理証明書」が必要になります。
こちらは150円の収入印紙で取得可能になっています。
豆知識として4点です。
1.相続人の甥(おい)・姪(めい)について
※ 甥姪 = 兄弟の子供になります。
その親が相続放棄すれば相続人にはならないです。
つまりは、相続放棄の手続きは一切不要という事ですね。
2.未支給の年金について
未支給の年金は相続財産にはなりません。
遺族に認められた「年金受給権」という固有の権利となります。
相続放棄をした方(これからする予定の方も)でも受け取ることができますので、ご安心下さいませ。
3.相続放棄が認められた後に流れについて
相続放棄した事を債権者(借金取り)に証明するための書類として
「相続放棄受理申述受理証明書」が必要になります。
こちらは同じく郵送にて150円(収入印紙)で取得可能になっています。
・相続放棄申述受理証明申請書 / 記入例
・本人確認書類(身分証明書)
・収入印紙 150円
・返信用封筒(82円切手を貼る)
上記を郵送にて送りすれば取得可能になります。
相続放棄が認められた時に送られてくる相続放棄申述受理通知書とは別で必要になりますので、覚えておくと良いですね。
ぜひ1つの参考にして頂ければ幸いです。